坂本文郎氏による2019年 吹奏楽コンクール課題曲 分析・解説

全日本吹奏楽コンクール課題曲分析2019年/坂本文郎

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坂本文郎氏による2019年度 吹奏楽コンクール課題曲の楽曲分析をお届けいたします。
指揮者から見た楽曲分析、練習方法等を記載しております。

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課題曲1 「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲

課題曲2 マーチ「エイプリル・リーフ」

課題曲3 行進曲「春」

課題曲4 行進曲「道標の先に」

さらにスキルアップしたい奏者のみなさんへ

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2019年吹奏楽コンクール 課題曲Ⅲ.行進曲「春」~第2回・楽曲分析・解説

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坂本文郎氏による2019年吹奏楽コンクール 課題曲Ⅲ.行進曲「春」の分析、解説です。

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練習番号B(33小節目)~練習番号C(48小節目)まで

・前小節のユニゾンから1拍目は繋がります。低音を除く全ての木管がD音のユニゾンになっていますが、Trumpetだけは3声です。特に3rdのF音は他にありませんので、特に響きに気を付けてください。

・練習番号Bの1~4小節(33~36小節)のAlto Clarinetも必須です。入らなければ三和音を構成できません。

・練習番号Bの1小節目(33小節目)の2拍目からメロディグループは3声になります。4小節目(36小節目)の2拍目からはユニゾンです。練習①の考え方で前後のバランスを調整してください。

・練習番号Bの3小節目(35小節目)の8分音符の連続は、練習番号Bの4小節目(36小節目)冒頭の和音までゆっくり確認してください。4小節目のF-durのコードで解決します。

・練習番号Bの4小節目(36小節目)の2拍目から練習番号Bの8小節目(40小節目)までメロディグループも対旋律のグループもユニゾンになります。音程が揃うことを必須です。

・練習番号Bの8小節目(40小節目)2拍目にメロディグループの中で唯一Trumpet 3のみが2声に分かれます。練習番号Bの9小節目(41小節目)2拍目になるとTrumpetは3声にClarinetは2声に分かれますが、FluteとOboeはユニゾンのままです。メロディの上のラインを目立たせる狙いはあるのでしょうが、楽団の事情次第で2声、3声の響きが得られなくなりますので、練習①でバランス調整をしましょう。特にTrumpet 3は1パートで和声を担いますので、十分注意を払ってください。ただし、練習番号Bの12小節目(44小節目)からはTrumpetも2声になりますので、この限りではありません。

・対旋律のグループもメロディと同じように練習番号Bの6小節目(38小節目)からはユニゾンで、練習番号Bの12小節目(44小節目)に入るとSaxophoneはメロディグループに加わり、HornはTromboneやEuphonium、Tubaと同調していきます。練習①は組み合わせを変えながら行ってください。

・練習番号Bの12、13小節目(44、45小節目)2拍目の金管と低音の4分音符は不安定な和音となっており、次の1拍目の8分音符に解決します。練習番号Bの15~16小節(47、48小節目)のB-durの響きが到達点になるよう、練習④を行ってください。

・練習番号Bの16小節目(48小節目)2拍目頭はF音以外ありません。この拍の裏は2つに分かれますが、下はTrb3だけですので、ユニゾン⇒2声の動きが明確に表現できるように気を付けてください。

 

練習番号C(49小節目)~練習番号D(56小節目)まで

・Flute・Oboe・Clarinetはユニゾンです。主になるTrombone・Euphoniumや低音パートの動きを上回ることがないように、音程重視で人数の調整をしましょう。

・TromboneとEuphoniumはTrombone 3のF音の連続にメロディを乗せる動きになっています。Trombone 3は同じ音の連続ですので強調されやすい音型ではありますが、1パートのみですので和声的な響きになっているのか確認をしながら練習を進めてください。

・木管・Trombone・Euphonium・低音という判りやすい形になっていますが、気を付ける点は音の種類が減る瞬間です。練習番号Cの1小節目(49小節目)2拍目と練習番号Cの4小節目(52小節目)1拍目裏と練習番号Cの5小節目(53小節目)2拍目はF音しかありません。このような場所では、明確にF音のみにしなければなりません。

・練習番号Cの5小節目(53小節目)1拍目はB音のみです。やはり明確な音(音程がとても大切です)B音が求められます。

・2音しかない場所も多々あります。
→練習番号Cの1小節目(49小節目)の1拍目裏(D&F)
→練習番号Cの2小節目(50小節目)の2拍目(C&F)
→練習番号Cの2小節目(50小節目)の2拍目裏(F&A)
→練習番号Cの3小節目(51小節目)の1拍目(F&Es)
→練習番号Cの3小節目(52小節目)の2拍目(F&B)
→練習番号Cの4小節目(52小節目)2拍目(F&C)
→練習番号Cの4小節目(52小節目)2拍目裏(F&Es)
→練習番号Cの5小節目(53小節目)2拍目裏(D&F)
→練習番号Cの8小節目(53小節目)2拍目(D&A)
※2音しかない場合は音量のバランスをほぼ同じにした方が良いでしょう。

・上記のような理由で練習③で和声の進行を確実に行ってください。練習番号Cの7~8小節(52~53小節)のD-durのコードが到達点です。

・練習番号Aの後半は複雑な和音⇒解決和音ですが、ここは少ない構成音の和音やユニゾン⇒解決和音と対称的になっています。この2か所の響きの違いは、比較練習で体感してください。

 

練習番号D(57小節目)~練習番号E(64小節目)まで

・練習番号Dの1小節目(57小節目)のTrumpet 1、練習番号Dの2小節目(58小節目)のAlto SaxophoneとAlto Clarinet、練習番号Dの3小節目(59小節目)のFlute・Oboe・Clarinetと、追いかけるようにメロディがユニゾンで演奏されます。楽器の数が増えると音程のリスクは高まりますが、最初が1本だけなので音程の狂いがわかりやすくなります。練習①の必要性も視野に入れて練習してください。

・練習番号D の4小節目(60小節目)2拍目から突然3声になります。Trumpetが加わりますので音量の問題は少ないと思いますが、チェックは必要です。

・練習番号D の5小節目(61小節目)の1拍目裏からは旋律ラインが2声になります。金管や低音がリズムに加わっていない部分は2音しかありませんので、上下のバランスに気を付けましょう。

・練習番号D の7~8小節目(63~64小節目)のHornのリズムは練習番号Bや練習番号Cの2小節前と同じですが、ユニゾンで演奏される点は対称的です。低音域同じ個所の低音域の音型もユニゾンです。音程に気を付けて他の場所と違うスッキリした音を目指してください。

・練習番号D の8小節目(64小節目)2拍目はF音のみです。これがフレーズの終わりになりますので、確実に濁りのない音を出さなければならないでしょう。

 

練習番号E(65小節目)~練習番号F(72小節目)まで

・Trombone・Euphoniumの動きは、練習番号Cとほぼ同じです。ただ、低音パートの動きの違いに伴って、練習番号Eの6小節目(70小節目)2拍目裏から練習番号Eの7小節目(71小節目)1拍目までのTrombone 3の動きが変わります。違いが明確に判るようにしてください。

・Flute・Oboe・Clarinetはユニゾンです。Tromboneが2声ですので、練習①で適切なバランスを作ってください。

・練習番号Eの1小節目(65小節目)の1拍目、F音はTrombone 3にしかありません。D音もTrombone 1&2とEuphoniumだけです。木管と低音のB音は厚いので、和声感が出るようにバランスを整えましょう。

・練習番号Eの1小節目(65小節目)の2拍目と練習番号Eの4小節目(68小節目)の2拍目はF音だけです。練習番号Eの8小節目(72小節目)の2拍目はA音以外ありません。この時折出現するユニゾンの瞬間を正確に表現することが演奏のキレを生むと思います。

・2音しかない場所もあります。
→練習番号Eの4小節目(68小節目)の2拍目裏(Es&F)
→練習番号Eの5小節目(69小節目)の2拍目(F&G)
→練習番号Eの6小節目(70小節目)の2拍目(A&C)
→練習番号Eの7小節目(71小節目)の1拍目(D&Fis)
※2音しかない場合は音量のバランスをほぼ同じにした方が良いでしょう。

・練習番号Eの1小節目(65小節目)の2拍目裏のB音はHorn 2しかありません。増強してください。

・練習番号Eの3~4小節(67~68小節目)のHorn 3のD音は和声を決定づける重要な音ですが、他にありません。やはり増強が必要です。

・練習番号Eの5小節目(69小節目)の2拍目裏で旋律ラインがF音を演奏します。この時他のパートからはF音がなくなっています。丁寧に奏し、B♭のコードを作ってください。

・練習番号Eの8小節目(72小節目)の2拍目はA音のみになります。強弱記号はmfですので、音程を気にしてください。人数を削って、音程を合わせることを最優先に考えましょう。

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課題曲Ⅲ.行進曲「春」~第1回・楽曲分析・解説

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坂本文郎氏による2019年吹奏楽コンクール 課題曲Ⅲ.行進曲「春」の分析、解説です。

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今回、行進曲が3曲ありますが、他の2曲と比較にならないほど質の高い音の整理された曲だと思います。1声・2声の部分が多く、不必要に音が並べられていないので、課題曲でなくても取り組みたいと感じさせる曲です。ただコンクールでとなると、この整理された響きが、かなりの困難を伴うでしょう。難易度がかなり高いにもかかわらず、曲の印象が地味なのが、やや選ぶのに躊躇するところでしょう。和声進行に特に注意が必要です。まずは、和声進行についての練習の方法について述べたいと思います。

ポイント1

まずはメロディの練習方法です。完全にユニゾンの部分、2声の部分、3声の部分がありますが、例えばユニゾン⇒2声⇒3声と和声的になった場合、ピアノならば音が広がっていく印象がありますが、主のメロディを奏する人数が減っていく合奏では逆に萎んでいくケースが多くなります。一つの声部を奏する人数が増えれば増えるほど音程のリスクが高まりますので、広がりを感じさせるためにも声部が少ない時は人数調整をするのが賢明です。(以降、この方法を練習①と表記します。)

ポイント2

メロディが2声体の場合、ClarinetやTrumpetは3パートあるため、上下のバランスに問題が発生します。多くの場合、下のパートは3rdだけになっていますので、ここの人数を増やしてバランスを取りましょう。(以降、この方法を練習②とします。)

ポイント3

ユニゾンや2声の和音が3声になる場所が多く見受けられます。広がりを感じるように2音だけ取り上げて丁寧に響きの確認をしてください。練習①の方法も使えます。(以降、この方法を練習③とします。)

ポイント4

3と練習方法は同じですが、スッキリした和音が続く中に突然5声や6声の複雑な和音が登場します。複雑な和音⇒解決の和音の順で、丁寧に響きの確認をしましょう。(この方法を練習④とします。)

ポイント5

和声が進行する様子を表すのに最も大切なのは、和声を変える音です。同じ音が連続するパートは、目立ち過ぎないように軽く演奏し、音が変わる時はやや広げるつもりでバランスを取ってください。(この方法を練習⑤とします。)

それでは、部分的に解説します。

冒頭~8小節目まで

・最初の8小節は、メロディグループ(Flute,Oboe,Clarinet,A.Sax.1,Tru,mpet)には、ユニゾン、2声、3声部分が混在しています。ここは、練習①で最も良いと思われるバランスを選んでください。特に最初の音はB音のみですので、音程に十分気を付けてください。Alto Clarinetがない場合、Clarinetパートが3声から2声になってしまいます。補充が必要と思われます。

・1小節目のTromboneは少しセーブしないと2拍目のAs音とのバランスが悪くなるかもしれません。また2小節目は3声になりますので、Horn、A.Sax.2、T.Sax.共に和音の広がりの練習③をしてください。

・2小節目2拍目のシンバルは、Snare DrumとBass Drumの装飾音を消さないように注意してください。

・4小節目と8小節目2拍目は、TimpaniとSnare Drumだけのcrescになっています。この変化を際立たせる必要があるでしょう。

9小節目~練習番号A(16小節目)まで

・9と10小節は、Snare Drumのリズムが際立つようにしましょう。

・同じ場所の他パートは全て4分音符の動きですが、低音パートの山型の順次進行が下行形の高音部の陰に隠れないように気を付けましょう。
・11小節目の冒頭は、C音しかありません。音程と1拍目裏からのシンコペーションに負けないバランス、音の長さに気を付けてください。

・12小節目は、メロディグループの2声にTrombone・Hornの3声( 特にメロディグループにない音)が負けないように気を付けましょう。またS.Cym.だけのcrescにも注意を払ってください。

・13~15小節は素直な和声進行です。練習⑤を意識してください。

・16小節目のBDは、soloですので、音質を吟味してください。

練習番号A(17小節目)~練習番号B(32小節目)まで

・17~20(Aの1~4)小節目と25~28(Aの9~12)小節のAlto Clarinetは必須です。Bass Clarinetとその他のClarinetパートと共に3和音を構成しているためです。

・17~20(Aの1~4)と25~28(Aの9~12)小節はメロディグループが3声、21~24(Aの5~8)と29~32(Aの13~16)小節1拍目は2声です。3声部分はB♭Clarinet全員が上の声部のため、バランスに気を付けてください。2声の部分は上下のバランスが大切です。

・19小節目(Aの3小節目)は4声になります。また、解決する20小節目(Aの4小節目)1拍目はF・Aの2音のみです。裏拍からHornとTromboneが入りますが、ここでC音が加わりますので、練習④を行ってください。Horn.1とT.Sax.のEs⇒E⇒F音の流れにも注意しましょう。

・21~23小節(Aの5~7小節)は軽快なリズム感を、それに対して24小節目(Aの8小節目)はレガートなイメージを演出してください。特にBass Drumは8分と4分音符の違いを明確に出したいものです。

・23、24小節(Aの7、8小節)も4声になっています。Horn.1がEs⇒Eの流れからEs音に戻るのが4小節目との相違です。練習④で響きを確かめましょう。

・24小節目(Aの8小節目)は、Es音がHorn.1とT.Saxのみです。バランスに気を付けましょう。

・練習番号Aの後半は、和声の流れがかなり複雑になります。減三和音を含む和音の連続です。練習④の響きの確認は、27小節目(Aの11小節目)から一つ一つしなければなりません。31小節目(Aの15小節目)でやっと解決する形ですので、十分に時間を取って練習してください。

・28小節目(Aの12小節目)2拍目から30小節目(Aの14小節目)1拍目まで、Oboe,Clarinet,Sax,はユニゾンになり、30小節目(Aの14小節目)2拍目から2声になります。練習①が必要です。

・32小節目(Aの16小節目)1拍目裏は無音です。クリアに音のない瞬間を作ってください。

・32小節目(Aの16小節目)2拍目はユニゾンです。ここでのリズムや音程の乱れは許されません。
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