坂本文郎氏による2019年 吹奏楽コンクール課題曲 分析・解説

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坂本文郎氏による2019年度 吹奏楽コンクール課題曲の楽曲分析をお届けいたします。
指揮者から見た楽曲分析、練習方法等を記載しております。

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2019年度 吹奏楽コンクール 課題曲Ⅰ「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲~第4回・楽曲分析・解説

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坂本文郎氏による2019年吹奏楽コンクール 課題曲Ⅰ「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲の分析、解説です。

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練習番号J(120小節目)~K(133小節目)まで

・練習番号Jは最もPercussionの活躍する部分です。練習番号J の5小節目(124小節目)からの低音のメロディもありますが、まずはPercussionのアンサンブルを作り、その上にメロディを乗せるくらいの感覚でJの音楽を構成すると良いと思います。

・練習番号J の1~4小節間(120小節~123小節)はAlto Clarinetが絶対に必要だと思います。「B・C・Es・F」という4声をClarinet群の音色だけで作るためです。この和音は「BとEs」と「CとF」の2つの完全4度で構成されていると考えるのが良いのではないかと思います。Alto Saxophoneは「BとF」になっています。和音の外側を重ねているのだと考えます。それに対するClarinetは、4音が全てあった方がより良いバランスになると考えます。

・練習番号J の5~10小節(124小節~129小節)の低音のメロディは、昔を懐かしむような回帰シーンの印象があります。歌い方を揃えた方が良いでしょう。

・練習番号J の11~14小節(130小節~133小節)は、練習番号Bの1小節前から3小節目までと基本的には同じです。注意点も前述の部分を参照してください。B前後と違うのは、14小節目のTromboneがない点とdecrescがかかっている点です。B前後と比較しながら練習して、その違いができているかどうか確認してください。Bの4小節目の最初がsffzなのとKの冒頭がmfになっていることが、この違いの原因になっています。次の音楽の違いに自然に入れているかどうかを検証してください。

練習番号K(134小節目)~練習番号L(149小節目)まで

・練習番号K の1~8小節(134小節目~141小節目)のTromboneはユニゾンで、さらに4回のグリッサンドがあります。全てB音を目指すので技術的な問題は少ないかもしれませんが、音の移動のタイミングを揃えるのは難しいと思います。ユニゾンなので、音程のリスクを考え、奏者を減らすのも一つの方法だと考えます。

・練習番号K の1~8小節(134小節目~141小節目)のTromboneのユニゾンに対しFlute・Piccoloは2声、Clarinetは3声の動きになっています。この3種のパートに加え、低音とPercのバランスを整えてください。

・練習番号K の7小節目(140小節目)でcrescをしているのは低音・Clarinet・Percussionだけです。Tromboneのユニゾンに音量が追いつくように奏してください。

・練習番号K の9~12小節(142小節目~145小節目)は、Clarinetがユニゾンに変わりTromboneが3声になります。2オクターヴの開きのあるメロディラインに次いでClarinetの音量があり、その下を3声に分かれたTromboneというバランスを作っていくと良いでしょう。

・練習番号K の12小節目(145小節目)の4拍目からのTrumpetはユニゾンです。HornとSaxophoneは2声になっているので、適正な音量を考える必要があります。

・練習番号K の13、14小節(146、147小節目)、Horn・Saxophoneが3声になるところでTrumpetは2声です。Tenor Saxophone・Horn.4のパートにTrumpetはないので、響きの調整をしてください。

・練習番号K の15小節目(148小節目)1拍目、何故かSaxophoneのみがG音のユニゾンです。Clarinet.3だけがB音、Horn.3とTrombone.2の2パートがC音でG音は多数あるため、人数の調整が必要と思います。

・練習番号K の15小節目(148小節目)の最後の和音は減三和音が連続します。練習番号K の16小節目(149小節目)にGmに解決しますので、スッキリと響かせることを目指してください。

練習番号L(150小節目)~練習番号M(165小節目)まで

※ここはアンサンブルの面でも音程も、特に注意が必要な部分です。
・Flute・Piccolo・Es Clarinetのメロディ、Clarinetの和音、Bassoon・Bass Clarinetの低音部、Percussionという構造です。気を付けたいのは、Clarinetの和音の転換の瞬間に間髪入れずPercussionの発音をしたいという点です。ズレないように注意深く練習してください。

・練習番号Lの4小節目(153小節目)の1拍目のメロディは非和声音です。4拍目でClarinet.1が延ばしていたC音に揃えていくわけですが、ここで濁りが出ないよう注意深く音程を整えてください。

・練習番号Lの8小節目(157小節目)のメロディのF音で4声の響きになります。練習番号Lの7小節目(156小節目)の後半からややdim気味に処理すると合わせやすくなります。

・練習番号Lの12小節目(161小節目)の1拍目のメロディは、Clarinet.2のA音とぶつかります。ここは濁った印象があるでしょうが、次の和音の解決を美しく整えれば問題ありません。

・練習番号Lの15~16小節(164、165小節目)のHorn・Tromboneの和音は、特にTrombone.2のAs音⇒G音の移動を大切にしてください。この時木管とTrumpetはユニゾンになります。強くなり過ぎないように、また音程のリスクを回避するために人数調整をした方が良いと思われます。

練習番号M(166小節目)~練習番号N(178小節目)まで

・Flute・Piccolo・Clarinet・Saxophone・Trumpetは、ユニゾンの後すぐに3声になります。16分音符の個所が2回ありますが、ここだけは2声です。16分音符の瞬間にバランスが崩れないように気を付けてください。Glockenspielと16分音符を合わせることも重要です。

・Trombone.2の音がB音からA音に変わるところが4ヶ所あります。この変化が明確に聴こえるようにバランスを作ると響きが良くなると思います。

・練習番号M の6小節目(171小節目)は和音が3等分された形で出てきます。最後の和音は減三和音です。特にこの和音と次の音への解決の部分でcrescを広げると流れが良くなるでしょう。

・練習番号M の7~8小節(172小節目~178小節目)は多くのパートがdecrescする中で、低音部とPercは山を感じさせるディナーミクになっています。この山がしっかり聴こえるように整えてください。

・練習番号M の11~12小節(176、177小節目)のcrescについてです。グリッサンドの入るHorn・Saxophoneは練習番号M の11小節目(176小節目)で大きなcrescが入ってしまいます。練習番号M の11小節目(176小節目)のcrescはこの2パートに任せ、練習番号M の12小節目(177小節目)に他のパートがcrescを受け継ぐ形(特に低音部)だと計算されたcrescを演出できます。

練習番号N(178小節目)~最後まで

・3回ある木管のトリルは、いずれも記譜された音で終わった方が良いと思います。次の音にスムーズに移動できることを最優先に考えてください。

・練習番号Nの1、3小節目(178、180小節目)は和声的に、2、4小節(179、181小節目)は4声の和音になっています。和声的な1、3小節目の音程に気を付けて、響きの差を明確にすると良いでしょう。

・練習番号Nの5小節目(182小節目)は4声からいきなり2声になります。下の音の人数が少なくなっていますが、上下のバランスをほぼ同じにした方が解決した感が得られるでしょう。

・練習番号Nの5小節目(182小節目)の4拍目のBongoと木管のトリルのタイミングを合わせることに気を付けてください。

・練習番号Nの7小節目(184小節目)の終わり方が困難です。木管の16分音符、8分音符の連続のパート、Trumpetのタイ、Trombone.1、2のグリッサンド、Percussionと異なる終わり方であることが困難にしています。特にTrumpetやBass Drumの音が残りやすいですし、Tromboneや木管も遅れてしまう可能性が高いです。8分音符のパートを基本に、入念に終了させる練習をしてください。切れ良く次のEuphoniumのソロに繋げたいところです。

・練習番号Nの9小節目(186小節目)、複雑な和音が3つ続きます。Percussionとのタイミングをしっかり揃え(特に6拍目のリムショットはできるだけ抜けるような音量の上で揃えたい。)、最後のG音のユニゾンに繋げましょう。G音は確実に音程を整えてください。音程を合わせるために多少人数を減らしても良いと思います。Percussionは練習番号Nの9小節目(186小節目)と最後の小節の音量をはっきりと変えてください。全体としてsffzを明確にする必要があります。

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2019年度 吹奏楽コンクール 課題曲Ⅰ「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲~第3回・楽曲分析・解説

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練習番号H(102小節目)~練習番号I(109小節目)まで

・練習番号Hの1、3、5小節目(102、104、106小節目)のTriangleは、直前のSus CymbalやSleigh Bellの音を受けて、音量に注意して鳴らしてください。特にSleigh Bellとは重ならないようにSleigh Bellの止め方に注意が必要です。(低音部のセブンスを構成するB音と一緒です。次のAs音に被らなければいいと考えます。)

・練習番号Hの1~4小節(102小節目~105小節目)のTrombone、練習番号Hの5~8小節(106小節目~109小節目)のHorn・Euphoniumの和音は練習番号Gと違って素直な和声進行になっています。不安定な和音のG部分から素直な和音になりますので、低音部に乗せて、丁寧に響きを作ってください。

・練習番号Hの2、4小節目(103、105小節目)のFlute・Piccoloのトリルは終わる音を統一して、次の小節にかぶさらないよう確実に1拍のみにしてください。

・練習番号Hの5~8小節(106~109小節目)のFlute・Piccolo・Es Clarinet・Clarinet. 1stはユニゾンです。また、Clarinet.2&3・Alto Saxophone 1&2の16分音符の動きも練習番号Hの8小節目(109小節目)の4拍目で2声になるまでユニゾンです。Horn・Euphoniumとのバランスも考えて、人数を減らすことで音程のリスクも減らせると思います。

・練習番号Hの8小節目(109小節目)のcrescは、Clarinet・Saxophoneが2声になる4拍目にしっかりかけると効果的でしょう。

練習番号I(110小節目)~練習番号J(119小節目)まで

・練習番号I からのメロディラインはユニゾンで始まります。練習番号I の3小節目(112小節目)3拍目から2声になりますので、ユニゾン部分は人数を減らしていた方が処理しやすいと考えます。この時のAlto Clarinetは最初の4小節をClarinet.4として処理した方が良いと思います(2小節目1拍目裏のC音は出ませんが、それは飛ばしてもフォローした方が良いでしょう。)が、2声になった時、Flute.2・Clarinet.3・Trumpet.3で演奏される下の音は、かなり少ないので調整した方が良いでしょう。

・練習番号I の2、4小節目(111、113小節目)の4拍目裏のPercussion(4小節目はSnare Drumのみ)は、メロディの動きが止まった時のアクセントになることを意識してください。

・練習番号I の5小節目(114小節目)のメロディは、1拍目裏からの3連符のリズムに負けないバランスで演奏してください。

・練習番号I の5~8小節間(114小節目~117小節目)もメロディの2声体は変わりません。特に5~6小節(114~115小節)は下のパートの音域が低いので、しっかりとフォローした方が良いでしょう。

・練習番号I の7小節目(116小節目)からのPercussionのcrescは、8小節目(117小節目)1拍目を頂点としてその後decrescすると意識を共有してください。

・練習番号I の8小節目(117小節目)はdecrescが難しいと思います。3~4拍目をritのポイントにするとdecrescもritもやりやすくなります。

・練習番号I の9小節目(118小節目)のTriangle、さらにそれに続く10小節目(119小節目)のSus Cymbalはdecrescの結果と考えてください。Sus Cymbalの音が全体の音量の谷底となり、続いてClarinetと低音パートのcresc・decrescという流れが自然だと思います。

2019年吹奏楽コンクール 課題曲1.「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲 第4回の楽曲分析をお楽しみに!!
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2019年吹奏楽コンクール 課題曲Ⅰ「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲~第2回・楽曲分析・解説

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練習番号D~Eまで(53小節目~68小節目まで)

・練習番号Dの1小節目(53小節目)~15小節目(67小節目)までのAlto Clarinetは、楽器がなければClarinet 4として音をフォローしてください。和声進行を美しくさせるためには必要な音です。

・練習番号Dの1小節目(53小節目)~8小節目(60小節目)までのメロディはユニゾンです。Snare Drumのリムの音や7小節目(59小節目)からのPiccolo・Glockenspielのスケールとのバランスを考えながら音程のリスクを少なくする適当な人数の調整をしましょう。

・練習番号Dの8小節目(60小節目)のSleigh Bellの立ち上がりはPiccolo・Glockenspielの上行形の結果としての音量を考えてください。PiccoloとGlockenspielは合わせるのが困難なので丁寧な練習が必要です。

・メロディは練習番号Dの9小節目(61小節目)から2声体になっています。Es音から始まるパートはFlute 2だけですのでバランスに注意してください。(補強が必要です。)

・練習番号Dの15小節目(67小節目)のHornとTromboneの音型はHorn 4(D音)Trombone 1(B音)が単独です。この音型でのバランスを取ってください。

・練習番号Dの16小節目(68小節目)の付点4分の音型は突然のユニゾンになります。人数としては多すぎると思われますので、できるだけ音程のリスクをなくすために減らした方が良いでしょう。

練習番号E~Fまで(69小節目~80小節目)

・この部分の低音パートは、練習番号Cとは逆に他のパートよりも短い音の設定になっています。練習番号Cは他のパートよりも長く音が残り、ここは短い音のイメージにすると、変化を演出することができます。

・この部分全体でリズムを担当するのはTromboneパートです。他の動きの音と比較すると、やはり単独で和声を作る音が多数存在します。響きの作り方に気を付けてください。
・練習番号EからもAlto Clarinetがない場合は、Clarinet 4としてのフォローは必要だと思いますが、そうした場合2声に分かれたClarinet 3の音が少なすぎます。フォローをしたうえでClarinet 3を増やすことをお薦めします。
・練習番号Eの1、5、9小節目(69小節目、73小節目、77小節目)の4拍目スタートのHornの入りが明確になるように立ち上がりに気を付けてください。

・練習番号Eの7~8小節間(76~77小節目)のcrescとdecrescですが、低音部の音量変化にTromboneそしてPercussionを揃えてください。練習番号Eの11~12小節間(79~80小節目)のcrescも低音の下行形のcrescに揃えましょう。

練習番号F~Gまで(81小節目~86小節目)

・練習番号FからはClarinet・Trumpetは3声に変わります。それに対して練習番号Fの1、3小節目(81小節目、83小節目)のTrombone・Euphoniumはユニゾンです。練習番号Fの2、4、6小節目(82、84、86小節目)は3声、練習番号Fの5小節目(85小節目)は2声です。どのようなバランスが丁度良いのか、いろいろ試してみてください。ユニゾンが大きすぎると感じたら、人数を減らした方が音程のリスクを回避できると思います。

・練習番号Fの2、4小節目(82、84小節目)のTam-Tamはスピード感のある音が要求されます。Clarinet・Saxophone・Hornの音型の頭打ちになるからです。あまり重いマレットは使用しない方が良いでしょう。
・練習番号Fの5、6小節目(85、86小節目)に全体のcrescがあります。この到達点の練習番号Gの1拍目のsffzには低音パートとBass Drumしかありません。このパートだけでsffzを演出できるように練習してください。練習番号Fの5小節目(85小節目)からcrescをかけて到達点に至る練習が必要だと思います。

・練習番号Fの5、6小節目(85、86小節目)のAlto Clarinetは何としても加えたい音です。D音から始まる下行形はTrombone 2とAlto Clarinetしかありません。Clarinetでは最後のDes音がフォローできませんが、その他の音だけでも入れたいところです。4人目のTromboneや2人目のTenor SaxophoneやEuphoniumがあれば厚くしたいですね。

練習番号G~H(87小節目~101小節目)

・練習番号Gの1~3小節間(87~89小節)は減三和音からのA7コードへの解決、そして練習番号6~8小節(92~94小節)も減三和音からのC7コードへの解決となっており、解決した後はまた減三和音に戻っています。練習番号Gの4、8小節目(90、94小節目)も1小節前と同じ進行です。さらに練習番号Gの10、11小節目(96、97小節目)は2種類の減三和音が交互にあります。大変不安定な和音が連続しますが、それだけにこの部分は曲のクライマックスと言っても差し支えないと思います。等距離に開いた音が積まれていますので、それぞれの音の音量を可能な限り近づけると響きが得られやすくなるでしょう。もう一つ、解決の和音をできるだけ印象的に響かせることもポイントです。さらに、Percの音を上手に目立たせることも効果的です。Bass Drum・Timpaniのソロ・ボンゴを目立たせてください。

・この部分のAlto Clarinetの音は必須です。Clarinet 4の形でフォローしてください。

・練習番号Gの5小節目(91小節目)4拍目から多くのパートはffpですが、Bassoon・Bariton Saxophone・Bass ClarinetとBongoは全てffです。ということは、5拍目以降全体がpに落した中でffで演奏するわけですから、5拍目からの5つの音が明確に聴こえた方が効果的になります。他のパートのcrescはできるだけ後ろに持っていた方が、その効果が出やすいでしょう。

・練習番号Gの5小節目(91小節目)の4拍目の和音と練習番号Gの6小節目(92小節目)1拍目の和音は、8声部もあります。半音でぶつかる音ばかりですので躊躇なくぶつけてください。この二つの和音で構成に変化があるとすれば5小節目にあるTuba・Contra bassのG音が練習番号Gの6小節目(92小節目)にはなく、逆に6小節目(92小節目)のTrombone 3にあるC音は5小節目には存在しません。綺麗に響くことは難しくても、この二つの音を強調して違いを出したいと考えます。
・練習番号Gの11小節目(97小節目)の最後の音は減三和音にTrombone 2&3,

Euphonium・Tuba・ContrabassのG音がぶつけられます。この音はできるだけ強調した方が良いでしょう。

・練習番号Gの12小節目(98小節目)の静寂の後、13小節目(99小節目)の始まりはTimpaniの装飾音が前に出るように丁寧に合わせましょう。Euphonium、Bassoonはしっかりした音で演奏し、15小節目(101小節目)のFlute・Clarinetの和音は静かなイメージが保たれるようにしてください。D音が強すぎるのでFlute 1・Es Clarinet・Clarinet 2は慎重に発音してください。Clarinet 3のB音とClarinet 1のA音も、慎重に正確な音程で入り響きを作ってください。
・練習番号Gの13小節目(99小節目)の和音に合わせるTam-Tam・Glockenspielの音量や音質にも注意を払いましょう。また、7拍目から始まるSus Cymbalのcrescは、練習番号Hの始まりに繋げられるよう丁寧に作ってください。

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課題曲Ⅰ「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲~第1回・楽曲分析・解説

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全体的によく練られた曲だと思います。和音の組み立て方、各パートあるいはメロディと伴奏のバランスなど、演奏しやすい曲という印象を持ちました。
Soloの各奏者に力のあるメンバーがいること、TromboneとPercussionパートが充実していれば挑戦したい曲です。その中で練習に時間がかかる点をクリアできれば課題曲として取り上げたい曲ではないでしょうか。

Point.1
打楽器の扱いに注意してください。音色もタイミングも十分に注意を払って曲を仕上げる必要があると思います。
Point.2
全体的に和声は素直な印象です。4声の連続を多用する最近の課題曲の作曲者と比較すると、和音の進行がとても効果的だと思います。それだけに、響きを美しく作れるよう時間をかけて練習する必要があるでしょう。
Point.3
アルト・クラリネットが必須の個所が数多くあります。所有していない楽団も多いと思いますが、その時は4パート目のクラリネットとして移調の必要があります。

それでは、練習番号毎に区切りながら解説します。

冒頭~練習番号Aまで(1~7小節目)

・1~3小節間のClarinetの和音は、Bass Clarinetが、Clarinet 1~3のパートと音量のバランスがとれているか、音質が悪くなっていないか、確認してください。

・Bass Clarinet奏者には少し音域が高すぎで嬉しくない音域です。幸いAlto Clarinetと同じ音ですので、Alto Clarinetがない団体はClarinetの4thという形でフォローすることをお薦めします。

・3小節目、10小節目、フェルマータの後の休符は無音になるようにしましょう。Sleigh BellsやSus Cymbalが自然に消えていくような音の終わりのタイミングにFlute、Clarinet、Hornを揃え、4拍目が無音になると緊張感が得られるでしょう。

・Alto Clarinetを所有していない団体は4~8小節のAlto Clarinetは、Clarinet 4として配置した方が良いと思います。

・5小節目の木管とGlockenspielの動きを揃えるのが困難です。この部分は繰り返しの練習をしてください。

・6~7小節の木管のトリルは16分音符にすると揃えやすいでしょう。

・7小節目冒頭のTrumpetと低音の発音の中で、G音を発音するのはTrumpet 3だけです。バランスを確認して必要であれば補強した方が良いでしょう。

・7小節3,4拍目のTrumpetのタイとSnare Drumは、5拍目が遅れやすくなります。Trumpetは必ずしもタイでなくても(音が短くなっても大丈夫)良いでしょうが、Snare Drumの合わせは練習が必要です。

練習番号A~練習番号Bまで(8小節目~25小節目まで)

Alto Clarinetを所有していない団体はAの1小節目(8小節目)~Aの9小節目(16小節目)とAの14小節目(21小節目)についてはClarinet 4としてフォロー必須です。

・Aの1小節目(8小節目)~Aの8小節目(15小節目)のTromboneとEuphonium、Aの10小節目(17小節目)~Aの13小節目(20小節目)のHornはメロディラインやバスにはない単独の音が多数あります。和音を響かせられるよう音量を調節した方が良いでしょう。

・Aの6小節目(13小節目)6拍目のSnare Drumは、他の楽器が休符の状態で16分音符(アクセント付き)を演奏しています。また、Aの9小節目(16小節目)5・6拍目のSnare Drum・Timpaniも同様です。他のパートと音が被らないように注意してください。

・Aの8小節目(15小節目)4拍目はG・D音の8分や付点4分音符の音の上でA・D音から始まる16分音符が発音されます。特にA音から始まるパート(Flute 2・Oboe・Clarinet 1)が3パートありますが、D音のパートの下になります。バランスを確認してください。

・Aの9小節目(16小節目)1拍目は、G・C音の2声になっています。C音が少ないので調整が必要です。
※Aの10小節目(17小節目)から9小節間(25小節目に至る部分)は、演奏の鮮やかさに差が出るところです。念入りに練習してください。以下の説明がその方法の一助になるかと思いますので参考にしてください。
・Aの14小節目(21小節目)は、デクレッシェンドからの延長線上に自然に流れるよう音量を調整しましょう。Aの14小節目(21小節目)の完全なユニゾン(音程に注意したいですね)が音量の底になり、Aの15・16小節目(22、23小節目)の2声体での動きが広がっていくようにしてください。Wood Block⇒Bongosも合わせて調整してください。

・Aの16小節目(23小節目)4拍目のトリルの開始とPercussionのロールのタイミングは完璧に合わせないと演奏の切れが悪くなります。fpのf部分は8分音符の長さに統一するなど配慮することで演奏にキレが出てきます。D音のトリルはD音で、A音のトリルは記譜されていないB音で終わるようにすると次の16分音符への移行がスムーズです。そして16分音符が始まるAの17小節目(24小節目)4拍目からクレッシェンドを揃えるとAの18小節目(25小節目)のffが表現しやすくなるでしょう。

・Aの16小節目(23小節目)4拍目からのトリルとTrumpetのタイはA音が少ないので調整してください。

・Aの17小節目(24小節目)4拍目からの16分音符は、Es音スタートのパートが少ないと思いますので工夫が必要ですね。

・Aの18小節目(25小節目)は、下行形のパートが上行形に比べ多くなっています。上行形パートの奮起を望みます。また、同じ音が連続するパートはEs音と比較してB音(Alto ClarinetとTrombone 2のみ)とF音(Trombone 3のみ)が少なくなっています。バランスに注意して調整した方が良いと思います。

・Aの18小節目(25小節目)は、特に4拍目以降TimpaniとSus Cymbalが浮いてくるようなバランスが良いと思います。

練習番号B~練習番号Cまで(26小節目~32小節目まで)

・Bの1小節目(26小節目)とBの4小節目(29小節目)の1拍目の音は、共にC音が少ないようです。特に4小節目は音の動きを考えるとTrombone 1かEuphoniumをC音に回したいところです。

・Bの1~7小節間(26~32小節間)のAlto Saxophone 2とTenor Saxophoneは、音程の合いにくい音になっています。注意してください。

・Bの1、2小節(26、27小節)のClarinet 3の動き(音)は他のパートにはありません。バランスを考えるか、Clarinet 1、2から少し回してバランスの調節をする工夫が必要かもしれません。同様にBの3小節目(28小節目)はClarinet 2が少なくなっています。TrumpetとEuphoniumがユニゾンであることを考えると、今度は2ndに少し回して調整することをお薦めします。

・Bの4小節目(29小節目)1拍目のGlockenspielは、全体のsffzに負けないよう、しっかり響きの残るマレットを選択してください。

・Bの4、5小節(29、30小節)、G音のトリルはG音でD音のトリルはEs音で終わるように調整してください。Bの7小節目(32小節目)のトリルは、記譜されている音で終わることをお薦めします。

・Alto Clarinetを所有していない団体はBの7小節目(32小節目)はClarinet 4のパートを作って対応が必要です。

・Bの7小節目(32小節目)のSus Cymbalだけがcrescの形です。他のパートとの違いを明確にし、Cの冒頭(33小節目)のSnare DrumとBass Drumのmfへの流れを丁寧に練習してください。

練習番号C~練習番号Dまで(33小節目~52小節目まで)

・Cの1小節目~8小節間(33小節目~40小節目)のClarinet・Alto Saxophoneはユニゾンです。2小節前からのdecrescを受けてのユニゾンは強くなりすぎる可能性があります。音程のリスクを解消するためにも人数の調整をした方が良いと思います。

・C全体の低音パートは4分音符で書かれている音が多数です。Cの2小節目(34小節目)の4・5拍目等、他パートの休符のところに残って聴こえる形になっていますので、全体をやや長めの音に処理してください。

・Cの1小節目~12小節目(33小節~44小節)までのTromboneは、練習番号A同様にメロディラインや低音にない単独の音が多数ありますので響きの確認をしてください。

・Cの9~12小節(41小節目~44小節目)、Flute・Piccolo・Es Clarinet・Alto Clarinet・Euphoniumのメロディ群とOboe・Clarinetのパートはともにユニゾンになっています。特にメロディラインは3オクターヴもの開きがある(但し、下から2オクターヴ目には音がない)ので音程の合わせが困難ですので注意が必要です。メロディがOboe・Clarinetよりやや強くなるように調整すると良いと思います。

・Cの12~14小節(44~46小節)のSaxophone・Trumpet・Hornは、Cの12小節目(44小節目)が2声(Trumpetはユニゾン)、Cの13小節目(45小節目)はTrumpet2声、Cの14小節目(46小節目)が3声になっています。2声の時は、Trumpetのユニゾンも考えるとC音から始まる上の音が3声に分かれた時より強くなってしまう懸念がありますのでバランスに注意してください。

・Cの15小節目(47小節目)はSare Drum以外は同じリズムです。Snare Drumの動きに合わせた上で響きの確認をしてください。また3拍目は増三和音、5拍目は減三和音となっています。これらの和音はそれぞれの音の音量を揃えていくと響きやすくなります。
そしてCの16小節目(48小節目)のGmの和音に解決するわけですが、この和音はG音が特に多く、B音がHorn 4・Trombone 2の2パートのみなので響きの調整をしてください。

・Cの16小節目(48小節目)4拍目のC.Cymbsは4拍目に管楽器と一緒に入り、5~6拍目はシンバルの響きだけが残る形です。他の楽器の音が残らないよう注意してください。そしてCの17・18小節目(49、50小節目)はEuphonium・GlockenspielとSnare Drumのリムショット、Cの18小節目(50小節目)6拍目はTimpaniとなります。
この3小節は、互いに音が重ならないように注意して、鮮やかに主役を移行させてください。

・18小節目(50小節目)6拍目のTimpaniは、次の小節のfのtuttiのアウフタクトに感じられる強さをイメージしてください。

・Cの19~20小節(51~52小節)のFlute 2・Clarinet 3は、人数が少ないので補強が必要です。

・Cの19~20小節(51~52小節)のAlto Saxophone 2とTenor Saxophoneは、音程に注意したいですね。

・Cの20小節目(52小節目)1拍目のffはG音が多すぎるようです。D・B音に注目して、響きの調整をしてください。

・Cの20小節目(52小節目)4拍目のPercussionの音とContrabassのpizzは、木管の16分音符のスタートと絡めて、適切と思われる音を探してください。

課題曲1.「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲 第2回の楽曲分析をお楽しみに!!

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