坂本文郎氏による2019年 吹奏楽コンクール課題曲 分析・解説

全日本吹奏楽コンクール課題曲分析2019年/坂本文郎

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坂本文郎氏による2019年度 吹奏楽コンクール課題曲の楽曲分析をお届けいたします。
指揮者から見た楽曲分析、練習方法等を記載しております。

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課題曲1 「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲

課題曲2 マーチ「エイプリル・リーフ」

課題曲3 行進曲「春」

課題曲4 行進曲「道標の先に」

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2019年吹奏楽コンクール 課題曲Ⅲ.行進曲「春」~第2回・楽曲分析・解説

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坂本文郎氏による2019年吹奏楽コンクール 課題曲Ⅲ.行進曲「春」の分析、解説です。

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練習番号B(33小節目)~練習番号C(48小節目)まで

・前小節のユニゾンから1拍目は繋がります。低音を除く全ての木管がD音のユニゾンになっていますが、Trumpetだけは3声です。特に3rdのF音は他にありませんので、特に響きに気を付けてください。

・練習番号Bの1~4小節(33~36小節)のAlto Clarinetも必須です。入らなければ三和音を構成できません。

・練習番号Bの1小節目(33小節目)の2拍目からメロディグループは3声になります。4小節目(36小節目)の2拍目からはユニゾンです。練習①の考え方で前後のバランスを調整してください。

・練習番号Bの3小節目(35小節目)の8分音符の連続は、練習番号Bの4小節目(36小節目)冒頭の和音までゆっくり確認してください。4小節目のF-durのコードで解決します。

・練習番号Bの4小節目(36小節目)の2拍目から練習番号Bの8小節目(40小節目)までメロディグループも対旋律のグループもユニゾンになります。音程が揃うことを必須です。

・練習番号Bの8小節目(40小節目)2拍目にメロディグループの中で唯一Trumpet 3のみが2声に分かれます。練習番号Bの9小節目(41小節目)2拍目になるとTrumpetは3声にClarinetは2声に分かれますが、FluteとOboeはユニゾンのままです。メロディの上のラインを目立たせる狙いはあるのでしょうが、楽団の事情次第で2声、3声の響きが得られなくなりますので、練習①でバランス調整をしましょう。特にTrumpet 3は1パートで和声を担いますので、十分注意を払ってください。ただし、練習番号Bの12小節目(44小節目)からはTrumpetも2声になりますので、この限りではありません。

・対旋律のグループもメロディと同じように練習番号Bの6小節目(38小節目)からはユニゾンで、練習番号Bの12小節目(44小節目)に入るとSaxophoneはメロディグループに加わり、HornはTromboneやEuphonium、Tubaと同調していきます。練習①は組み合わせを変えながら行ってください。

・練習番号Bの12、13小節目(44、45小節目)2拍目の金管と低音の4分音符は不安定な和音となっており、次の1拍目の8分音符に解決します。練習番号Bの15~16小節(47、48小節目)のB-durの響きが到達点になるよう、練習④を行ってください。

・練習番号Bの16小節目(48小節目)2拍目頭はF音以外ありません。この拍の裏は2つに分かれますが、下はTrb3だけですので、ユニゾン⇒2声の動きが明確に表現できるように気を付けてください。

 

練習番号C(49小節目)~練習番号D(56小節目)まで

・Flute・Oboe・Clarinetはユニゾンです。主になるTrombone・Euphoniumや低音パートの動きを上回ることがないように、音程重視で人数の調整をしましょう。

・TromboneとEuphoniumはTrombone 3のF音の連続にメロディを乗せる動きになっています。Trombone 3は同じ音の連続ですので強調されやすい音型ではありますが、1パートのみですので和声的な響きになっているのか確認をしながら練習を進めてください。

・木管・Trombone・Euphonium・低音という判りやすい形になっていますが、気を付ける点は音の種類が減る瞬間です。練習番号Cの1小節目(49小節目)2拍目と練習番号Cの4小節目(52小節目)1拍目裏と練習番号Cの5小節目(53小節目)2拍目はF音しかありません。このような場所では、明確にF音のみにしなければなりません。

・練習番号Cの5小節目(53小節目)1拍目はB音のみです。やはり明確な音(音程がとても大切です)B音が求められます。

・2音しかない場所も多々あります。
→練習番号Cの1小節目(49小節目)の1拍目裏(D&F)
→練習番号Cの2小節目(50小節目)の2拍目(C&F)
→練習番号Cの2小節目(50小節目)の2拍目裏(F&A)
→練習番号Cの3小節目(51小節目)の1拍目(F&Es)
→練習番号Cの3小節目(52小節目)の2拍目(F&B)
→練習番号Cの4小節目(52小節目)2拍目(F&C)
→練習番号Cの4小節目(52小節目)2拍目裏(F&Es)
→練習番号Cの5小節目(53小節目)2拍目裏(D&F)
→練習番号Cの8小節目(53小節目)2拍目(D&A)
※2音しかない場合は音量のバランスをほぼ同じにした方が良いでしょう。

・上記のような理由で練習③で和声の進行を確実に行ってください。練習番号Cの7~8小節(52~53小節)のD-durのコードが到達点です。

・練習番号Aの後半は複雑な和音⇒解決和音ですが、ここは少ない構成音の和音やユニゾン⇒解決和音と対称的になっています。この2か所の響きの違いは、比較練習で体感してください。

 

練習番号D(57小節目)~練習番号E(64小節目)まで

・練習番号Dの1小節目(57小節目)のTrumpet 1、練習番号Dの2小節目(58小節目)のAlto SaxophoneとAlto Clarinet、練習番号Dの3小節目(59小節目)のFlute・Oboe・Clarinetと、追いかけるようにメロディがユニゾンで演奏されます。楽器の数が増えると音程のリスクは高まりますが、最初が1本だけなので音程の狂いがわかりやすくなります。練習①の必要性も視野に入れて練習してください。

・練習番号D の4小節目(60小節目)2拍目から突然3声になります。Trumpetが加わりますので音量の問題は少ないと思いますが、チェックは必要です。

・練習番号D の5小節目(61小節目)の1拍目裏からは旋律ラインが2声になります。金管や低音がリズムに加わっていない部分は2音しかありませんので、上下のバランスに気を付けましょう。

・練習番号D の7~8小節目(63~64小節目)のHornのリズムは練習番号Bや練習番号Cの2小節前と同じですが、ユニゾンで演奏される点は対称的です。低音域同じ個所の低音域の音型もユニゾンです。音程に気を付けて他の場所と違うスッキリした音を目指してください。

・練習番号D の8小節目(64小節目)2拍目はF音のみです。これがフレーズの終わりになりますので、確実に濁りのない音を出さなければならないでしょう。

 

練習番号E(65小節目)~練習番号F(72小節目)まで

・Trombone・Euphoniumの動きは、練習番号Cとほぼ同じです。ただ、低音パートの動きの違いに伴って、練習番号Eの6小節目(70小節目)2拍目裏から練習番号Eの7小節目(71小節目)1拍目までのTrombone 3の動きが変わります。違いが明確に判るようにしてください。

・Flute・Oboe・Clarinetはユニゾンです。Tromboneが2声ですので、練習①で適切なバランスを作ってください。

・練習番号Eの1小節目(65小節目)の1拍目、F音はTrombone 3にしかありません。D音もTrombone 1&2とEuphoniumだけです。木管と低音のB音は厚いので、和声感が出るようにバランスを整えましょう。

・練習番号Eの1小節目(65小節目)の2拍目と練習番号Eの4小節目(68小節目)の2拍目はF音だけです。練習番号Eの8小節目(72小節目)の2拍目はA音以外ありません。この時折出現するユニゾンの瞬間を正確に表現することが演奏のキレを生むと思います。

・2音しかない場所もあります。
→練習番号Eの4小節目(68小節目)の2拍目裏(Es&F)
→練習番号Eの5小節目(69小節目)の2拍目(F&G)
→練習番号Eの6小節目(70小節目)の2拍目(A&C)
→練習番号Eの7小節目(71小節目)の1拍目(D&Fis)
※2音しかない場合は音量のバランスをほぼ同じにした方が良いでしょう。

・練習番号Eの1小節目(65小節目)の2拍目裏のB音はHorn 2しかありません。増強してください。

・練習番号Eの3~4小節(67~68小節目)のHorn 3のD音は和声を決定づける重要な音ですが、他にありません。やはり増強が必要です。

・練習番号Eの5小節目(69小節目)の2拍目裏で旋律ラインがF音を演奏します。この時他のパートからはF音がなくなっています。丁寧に奏し、B♭のコードを作ってください。

・練習番号Eの8小節目(72小節目)の2拍目はA音のみになります。強弱記号はmfですので、音程を気にしてください。人数を削って、音程を合わせることを最優先に考えましょう。

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2019年 吹奏楽コンクール課題曲Ⅳ.「道標の先に」~第2回・楽曲分析・解説

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坂本文郎氏による2019年吹奏楽コンクール 課題曲Ⅳ.行進曲「道標の先に」の分析、解説です。

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練習番号C~D(43小節目~58小節目)まで

・練習番号Cの1、2、5、6小節目(43、44、47、48)のPiccolo、Flute、Es Clarinetのトリルは16分音符にすると記譜されていない音で終わります。記譜された音で終えたい場合は、最後を8分音符にするとよいでしょう。いずれにしても、終わる音を揃えることが大切です。

・低音ラインのメロディの1、2、5、6小節目(43、44、47、48)小節目のそれぞれ3拍目の音は、跳躍進行しているため聴こえにくくなりがちです。確実に音が出るよう、しっかり練習してください。

・練習番号Cの3小節目(45小節目)と7小節目(49小節目)の4拍目からの5連符は、グロッケンと合わせるのが難しいでしょう。FluteとEs Clarinetの練習に必ずグロッケンも加えて練習してください。

・練習番号Cの8小節目(50小節目)4拍目から4声が多用されます。付点音符で音を延ばすパートが4声ですが、他のパートの動きを考えた時、発音の瞬間に1パートしか演奏していない部分があります。この時に音が隠れてしまわないように注意してください。

※例えば11小節目(53小節目)のAlto Saxophone 2のH音は低音のC音とぶつかるため、注意したいですね。

・練習番号Cの9小節目(51小節目)からのFlute・Oboe ・Es Clarinetの動きの中でFlute 2だけが他のパートと違います。バランスがかなり悪くなると考えられますので注意してください。
・練習番号Cの10、12、14小節目(52、54、56小節目)3拍目のClarinetとSnare Drumは、音の終わりに響きを残さないようにしましょう。Bass Drum・Cymbalsと重ならないようにしてください。

練習番号D~E(59小節目~74小節目)まで

・練習番号Dの1~7小節間(59小節目~65小節目)の注意事項は練習番号C~Dの注意と同じです。

・練習番号D の8小節目(66小節目)頭の和音はG音が多すぎます。これに対するD音、H音はClarinet 2&3とTrumpet 2&3だけです。共に1stがG音をより高い音域で吹いているため、全体的に響きを作るのが難しくなっています。それぞれ1stには1本残せば十分ではないでしょうか。

・装飾音の後の音を揃えたいのは冒頭と同じですが、練習番号Dの9、11小節目(67、69小節目)の場合はSnare Drumの装飾音もそろえなければならないところが難しく、10、12小節目(68小節目、70小節目)はAlto Saxophone・Hornの音と被らないようにするなど、細かい点に注意が必要です。また10小節目(68小節目)はFlute 2の音が少なく音も低いためバランスを取らなければなりません。

・練習番号Dの13、14小節目(71小節目、72小節目)のトリルは練習番号Cと同じ考え方をしてください。16小節目(74小節目)のトリルは次の音が跳躍したF音になりますので、最後を8分音符で処理して記譜された音で終わった方が良いでしょう。

・練習番号Dの16小節目(74小節目)のTrombone 3は、響きを殺してしまう可能性があります。あまりcrescさせない方が無難でしょう。
・練習番号Dの16小節目(74小節目)のfpは、無理してf部分を鳴らさない方が良いでしょう。木管や低音のアクセントに合わせる程度にして、2拍目がしっかりpになるようにしてください。4拍目にトリルが入ったタイミングでcrescしていくと効果的でしょう。

練習番号E~F(75小節目~90小節目)まで

・練習番号Eの8小節目(82小節目)の頭まで、再び厚いメロディのユニゾンがあります。8小節目(82小節目)後半が2声に分かれ、9小節目(83小節目)からは3声に分かれる事を考えると、あまり強く演奏はできません。実際のメロディラインを奏する人数が1/2、1/3と減っていくからです。和音が広がるにつれて演奏も広がるイメージで作曲されているのだと思いますが逆の効果になりがちです。最初は音程重視で少ない人数でfを演奏し、徐々に人数を増やした方が良いと思います。また、対旋律やTromboneのリズムとのバランスも取れるでしょう。

・練習番号E の9小節目(83小節目)2、3拍目はTromboneとSnare Drumの音だけがクリアに聴こえるように、1拍目の音の処理に気を付けてください。

・練習番号E の8小節目(82小節目)4~6拍目はClarinet 3とAlto Saxophone 2の音だけが、低音と同じF音で始まります。人数的にA音から始まるパートと響きを作るのが困難です。私はClarinet 2はF音スタートにした方がバランスはとりやすいと思います。

・練習番号Eの8小節目(82小節目)4拍目のTrombone 1のEs音はたった一人でセブンスの和音を担っています。しっかり強調できるように工夫してください。

・練習番号Eの9~12小節間(83小節目~86)はFlute・Oboe・Clarinet・Alto Saxophone・Trumpetという多数のメロディ群に対し、Alto Clarinet・Tenor Saxophone・Euphoniumの対旋律、Tromboneの和音、Hornのリズム、低音群があります。このバランスに注意を払ってください。特に9小節目(83小節目)6拍目のD音はHorn 1とTrombone 1しか演奏していませんし、11小節目(85小節目)4~6拍目のA音はHorn 3とTrombone 3にしかありません。
・練習番号E の12小節目(86小節目)6拍目の8分音符は、全体のcrescの上アクセント付きで演奏したいのに、Snare Drum以外の管楽器は4声帯になり、しかもかなりの人数減になっています。アクセントのつきにくい形です。Snare Drumのcrescを効かせる等、工夫してください。

・練習番号E の13小節目(87小節目)の8分音符の連続は3声で一緒に動いています。うまく吹けない奏者は、2拍目か3拍目をカットしてあげると吹きやすくなります。

・練習番号E の14小節目(88小節目)4拍目の付点4分は、Tenor Saxophone・Horn 3・Trombone 3・EuphoniumのC音が高い音域になっています。このC音は同じ音域のB音を邪魔しないようにしたいものです。

・練習番号E の15小節目(89小節目)のTrombone 3のA音も響きを阻害する可能性があります。強い音は避けた方が良いでしょう。

・練習番号E の16小節目(90小節目)4~6拍目の8分音符の連続は、4声で動いているため軽快感を壊してしまいます。C音の連続のパートから一つ音を抜いたり、休ませたりすることで多少解消されます。試してみてください。

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2019年吹奏楽コンクール課題曲Ⅱマーチ「エイプリル・リーフ」~第2回・楽曲分析・解説

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坂本文郎氏による2019年吹奏楽コンクール 課題曲Ⅱマーチ「エイプリル・リーフ」の分析、解説です。
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Point.3メロディと副旋律・伴奏のバランス

副旋律のない主旋律グループと伴奏グループだけのパターンと、副旋律も含めた3分割のパターンの二通りあります。いずれにしても気を付けるのはバランスです。主旋律を主体にするのは当然ですが、バランスよく聴こえているか気にしてください。

Point.4主旋律内のバランス

①該当箇所はA,B,D,E,F,G,H,K,Lと曲の大半を占めます。この内A、Bの4小節目まで、D、G、Lの3小節目まで、はClarinetとAlto Saxophoneだけのメロディです。Dの4小節目の最後の音と、Hの8小節目~12小節目3拍目以外は全てユニゾンです。さらにHの最初の7小節と最後の4小節はTrumpetも加わってユニゾンになっています。演奏している人数と音の厚さを考慮して、音程重視で人数の調整をするのが賢明です。

②Bの5小節目~とEの2小節目まで、Fの6小節目まで、Hの8小節目~12小節目、K、Lの3小節目3拍目~4小節目3拍目頭はTrumpetが加わって、メロディが2分割されています。ClarinetとTrumpetを見ていただくとわかるのですが、もともと3パートで設定されているため下の音が少なくなっています。2分割されたことで変化を付けようと思うと、下の音はほぼ同じ音量が必要だと考えられます。2ndの奏者を3rdに回す等の工夫が望まれます。(FluteやOboeがメロディに加わっている箇所もありますが、同じ考え方をしてください。)

③メロディが3分割されるのは、Eの3,4小節目とFの7,8小節目の2ヶ所だけです。2か所ともfからffに進む盛り上がりの必要な場所であることを考えると、前述したようにユニゾン部分は人数の調整をしなければならないということがわかります。

課題曲Ⅱ.マーチ「エイプリル・リーフ」 第3回の楽曲分析をお楽しみに!!

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2019年吹奏楽コンクール 課題曲Ⅰ「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲~第2回・楽曲分析・解説

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坂本文郎氏による2019年吹奏楽コンクール 課題曲Ⅰ「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲の分析、解説です。

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練習番号D~Eまで(53小節目~68小節目まで)

・練習番号Dの1小節目(53小節目)~15小節目(67小節目)までのAlto Clarinetは、楽器がなければClarinet 4として音をフォローしてください。和声進行を美しくさせるためには必要な音です。

・練習番号Dの1小節目(53小節目)~8小節目(60小節目)までのメロディはユニゾンです。Snare Drumのリムの音や7小節目(59小節目)からのPiccolo・Glockenspielのスケールとのバランスを考えながら音程のリスクを少なくする適当な人数の調整をしましょう。

・練習番号Dの8小節目(60小節目)のSleigh Bellの立ち上がりはPiccolo・Glockenspielの上行形の結果としての音量を考えてください。PiccoloとGlockenspielは合わせるのが困難なので丁寧な練習が必要です。

・メロディは練習番号Dの9小節目(61小節目)から2声体になっています。Es音から始まるパートはFlute 2だけですのでバランスに注意してください。(補強が必要です。)

・練習番号Dの15小節目(67小節目)のHornとTromboneの音型はHorn 4(D音)Trombone 1(B音)が単独です。この音型でのバランスを取ってください。

・練習番号Dの16小節目(68小節目)の付点4分の音型は突然のユニゾンになります。人数としては多すぎると思われますので、できるだけ音程のリスクをなくすために減らした方が良いでしょう。

練習番号E~Fまで(69小節目~80小節目)

・この部分の低音パートは、練習番号Cとは逆に他のパートよりも短い音の設定になっています。練習番号Cは他のパートよりも長く音が残り、ここは短い音のイメージにすると、変化を演出することができます。

・この部分全体でリズムを担当するのはTromboneパートです。他の動きの音と比較すると、やはり単独で和声を作る音が多数存在します。響きの作り方に気を付けてください。
・練習番号EからもAlto Clarinetがない場合は、Clarinet 4としてのフォローは必要だと思いますが、そうした場合2声に分かれたClarinet 3の音が少なすぎます。フォローをしたうえでClarinet 3を増やすことをお薦めします。
・練習番号Eの1、5、9小節目(69小節目、73小節目、77小節目)の4拍目スタートのHornの入りが明確になるように立ち上がりに気を付けてください。

・練習番号Eの7~8小節間(76~77小節目)のcrescとdecrescですが、低音部の音量変化にTromboneそしてPercussionを揃えてください。練習番号Eの11~12小節間(79~80小節目)のcrescも低音の下行形のcrescに揃えましょう。

練習番号F~Gまで(81小節目~86小節目)

・練習番号FからはClarinet・Trumpetは3声に変わります。それに対して練習番号Fの1、3小節目(81小節目、83小節目)のTrombone・Euphoniumはユニゾンです。練習番号Fの2、4、6小節目(82、84、86小節目)は3声、練習番号Fの5小節目(85小節目)は2声です。どのようなバランスが丁度良いのか、いろいろ試してみてください。ユニゾンが大きすぎると感じたら、人数を減らした方が音程のリスクを回避できると思います。

・練習番号Fの2、4小節目(82、84小節目)のTam-Tamはスピード感のある音が要求されます。Clarinet・Saxophone・Hornの音型の頭打ちになるからです。あまり重いマレットは使用しない方が良いでしょう。
・練習番号Fの5、6小節目(85、86小節目)に全体のcrescがあります。この到達点の練習番号Gの1拍目のsffzには低音パートとBass Drumしかありません。このパートだけでsffzを演出できるように練習してください。練習番号Fの5小節目(85小節目)からcrescをかけて到達点に至る練習が必要だと思います。

・練習番号Fの5、6小節目(85、86小節目)のAlto Clarinetは何としても加えたい音です。D音から始まる下行形はTrombone 2とAlto Clarinetしかありません。Clarinetでは最後のDes音がフォローできませんが、その他の音だけでも入れたいところです。4人目のTromboneや2人目のTenor SaxophoneやEuphoniumがあれば厚くしたいですね。

練習番号G~H(87小節目~101小節目)

・練習番号Gの1~3小節間(87~89小節)は減三和音からのA7コードへの解決、そして練習番号6~8小節(92~94小節)も減三和音からのC7コードへの解決となっており、解決した後はまた減三和音に戻っています。練習番号Gの4、8小節目(90、94小節目)も1小節前と同じ進行です。さらに練習番号Gの10、11小節目(96、97小節目)は2種類の減三和音が交互にあります。大変不安定な和音が連続しますが、それだけにこの部分は曲のクライマックスと言っても差し支えないと思います。等距離に開いた音が積まれていますので、それぞれの音の音量を可能な限り近づけると響きが得られやすくなるでしょう。もう一つ、解決の和音をできるだけ印象的に響かせることもポイントです。さらに、Percの音を上手に目立たせることも効果的です。Bass Drum・Timpaniのソロ・ボンゴを目立たせてください。

・この部分のAlto Clarinetの音は必須です。Clarinet 4の形でフォローしてください。

・練習番号Gの5小節目(91小節目)4拍目から多くのパートはffpですが、Bassoon・Bariton Saxophone・Bass ClarinetとBongoは全てffです。ということは、5拍目以降全体がpに落した中でffで演奏するわけですから、5拍目からの5つの音が明確に聴こえた方が効果的になります。他のパートのcrescはできるだけ後ろに持っていた方が、その効果が出やすいでしょう。

・連取番号Gの5小節目(91小節目)の4拍目の和音と練習番号Gの6小節目(92小節目)1拍目の和音は、8声部もあります。半音でぶつかる音ばかりですので躊躇なくぶつけてください。この二つの和音で構成に変化があるとすれば5小節目にあるTuba・Contra bassのG音が練習番号Gの6小節目(92小節目)にはなく、逆に6小節目(92小節目)のTrombone 3にあるC音は5小節目には存在しません。綺麗に響くことは難しくても、この二つの音を強調して違いを出したいと考えます。
・練習番号Gの11小節目(97小節目)の最後の音は減三和音にTrombone 2&3,

Euphonium・Tuba・ContrabassのG音がぶつけられます。この音はできるだけ強調した方が良いでしょう。

・練習番号Gの12小節目(98小節目)の静寂の後、13小節目(99小節目)の始まりはTimpaniの装飾音が前に出るように丁寧に合わせましょう。Euphonium、Bassoonはしっかりした音で演奏し、15小節目(101小節目)のFlute・Clarinetの和音は静かなイメージが保たれるようにしてください。D音が強すぎるのでFlute 1・Es Clarinet・Clarinet 2は慎重に発音してください。Clarinet 3のB音とClarinet 1のA音も、慎重に正確な音程で入り響きを作ってください。
・練習番号Gの13小節目(99小節目)の和音に合わせるTam-Tam・Glockenspielの音量や音質にも注意を払いましょう。また、7拍目から始まるSus Cymbalのcrescは、練習番号Hの始まりに繋げられるよう丁寧に作ってください。

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課題曲Ⅲ.行進曲「春」~第1回・楽曲分析・解説

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坂本文郎氏による2019年吹奏楽コンクール 課題曲Ⅲ.行進曲「春」の分析、解説です。

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今回、行進曲が3曲ありますが、他の2曲と比較にならないほど質の高い音の整理された曲だと思います。1声・2声の部分が多く、不必要に音が並べられていないので、課題曲でなくても取り組みたいと感じさせる曲です。ただコンクールでとなると、この整理された響きが、かなりの困難を伴うでしょう。難易度がかなり高いにもかかわらず、曲の印象が地味なのが、やや選ぶのに躊躇するところでしょう。和声進行に特に注意が必要です。まずは、和声進行についての練習の方法について述べたいと思います。

ポイント1

まずはメロディの練習方法です。完全にユニゾンの部分、2声の部分、3声の部分がありますが、例えばユニゾン⇒2声⇒3声と和声的になった場合、ピアノならば音が広がっていく印象がありますが、主のメロディを奏する人数が減っていく合奏では逆に萎んでいくケースが多くなります。一つの声部を奏する人数が増えれば増えるほど音程のリスクが高まりますので、広がりを感じさせるためにも声部が少ない時は人数調整をするのが賢明です。(以降、この方法を練習①と表記します。)

ポイント2

メロディが2声体の場合、ClarinetやTrumpetは3パートあるため、上下のバランスに問題が発生します。多くの場合、下のパートは3rdだけになっていますので、ここの人数を増やしてバランスを取りましょう。(以降、この方法を練習②とします。)

ポイント3

ユニゾンや2声の和音が3声になる場所が多く見受けられます。広がりを感じるように2音だけ取り上げて丁寧に響きの確認をしてください。練習①の方法も使えます。(以降、この方法を練習③とします。)

ポイント4

3と練習方法は同じですが、スッキリした和音が続く中に突然5声や6声の複雑な和音が登場します。複雑な和音⇒解決の和音の順で、丁寧に響きの確認をしましょう。(この方法を練習④とします。)

ポイント5

和声が進行する様子を表すのに最も大切なのは、和声を変える音です。同じ音が連続するパートは、目立ち過ぎないように軽く演奏し、音が変わる時はやや広げるつもりでバランスを取ってください。(この方法を練習⑤とします。)

それでは、部分的に解説します。

冒頭~8小節目まで

・最初の8小節は、メロディグループ(Flute,Oboe,Clarinet,A.Sax.1,Tru,mpet)には、ユニゾン、2声、3声部分が混在しています。ここは、練習①で最も良いと思われるバランスを選んでください。特に最初の音はB音のみですので、音程に十分気を付けてください。Alto Clarinetがない場合、Clarinetパートが3声から2声になってしまいます。補充が必要と思われます。

・1小節目のTromboneは少しセーブしないと2拍目のAs音とのバランスが悪くなるかもしれません。また2小節目は3声になりますので、Horn、A.Sax.2、T.Sax.共に和音の広がりの練習③をしてください。

・2小節目2拍目のシンバルは、Snare DrumとBass Drumの装飾音を消さないように注意してください。

・4小節目と8小節目2拍目は、TimpaniとSnare Drumだけのcrescになっています。この変化を際立たせる必要があるでしょう。

9小節目~練習番号A(16小節目)まで

・9と10小節は、Snare Drumのリズムが際立つようにしましょう。

・同じ場所の他パートは全て4分音符の動きですが、低音パートの山型の順次進行が下行形の高音部の陰に隠れないように気を付けましょう。
・11小節目の冒頭は、C音しかありません。音程と1拍目裏からのシンコペーションに負けないバランス、音の長さに気を付けてください。

・12小節目は、メロディグループの2声にTrombone・Hornの3声( 特にメロディグループにない音)が負けないように気を付けましょう。またS.Cym.だけのcrescにも注意を払ってください。

・13~15小節は素直な和声進行です。練習⑤を意識してください。

・16小節目のBDは、soloですので、音質を吟味してください。

練習番号A(17小節目)~練習番号B(32小節目)まで

・17~20(Aの1~4)小節目と25~28(Aの9~12)小節のAlto Clarinetは必須です。Bass Clarinetとその他のClarinetパートと共に3和音を構成しているためです。

・17~20(Aの1~4)と25~28(Aの9~12)小節はメロディグループが3声、21~24(Aの5~8)と29~32(Aの13~16)小節1拍目は2声です。3声部分はB♭Clarinet全員が上の声部のため、バランスに気を付けてください。2声の部分は上下のバランスが大切です。

・19小節目(Aの3小節目)は4声になります。また、解決する20小節目(Aの4小節目)1拍目はF・Aの2音のみです。裏拍からHornとTromboneが入りますが、ここでC音が加わりますので、練習④を行ってください。Horn.1とT.Sax.のEs⇒E⇒F音の流れにも注意しましょう。

・21~23小節(Aの5~7小節)は軽快なリズム感を、それに対して24小節目(Aの8小節目)はレガートなイメージを演出してください。特にBass Drumは8分と4分音符の違いを明確に出したいものです。

・23、24小節(Aの7、8小節)も4声になっています。Horn.1がEs⇒Eの流れからEs音に戻るのが4小節目との相違です。練習④で響きを確かめましょう。

・24小節目(Aの8小節目)は、Es音がHorn.1とT.Saxのみです。バランスに気を付けましょう。

・練習番号Aの後半は、和声の流れがかなり複雑になります。減三和音を含む和音の連続です。練習④の響きの確認は、27小節目(Aの11小節目)から一つ一つしなければなりません。31小節目(Aの15小節目)でやっと解決する形ですので、十分に時間を取って練習してください。

・28小節目(Aの12小節目)2拍目から30小節目(Aの14小節目)1拍目まで、Oboe,Clarinet,Sax,はユニゾンになり、30小節目(Aの14小節目)2拍目から2声になります。練習①が必要です。

・32小節目(Aの16小節目)1拍目裏は無音です。クリアに音のない瞬間を作ってください。

・32小節目(Aの16小節目)2拍目はユニゾンです。ここでのリズムや音程の乱れは許されません。
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課題曲Ⅳ.行進曲「道標の先に」~第1回・楽曲分析・解説

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坂本文郎氏による2019年吹奏楽コンクール 課題曲Ⅳ.行進曲「道標の先に」の分析、解説です。

坂本文郎プロフィール※掲載内容の無断転載、商業利用はお止めください。

この曲は、前半がユニゾン主体のメロディと軽めの和音パートで作ってありますが、Trioを越えると四声や五声の和音主体になり、からり整理が必要な印象があります。特にホルンパートは2ndと4thが同じで3人でもできるように思えますが、実際は1パートだけで他の多くの音(パート)に対抗する必要があります。ホルンパートに関しては5~6人の人数が必要と感じます。Trio以降はかなり時間をかけて響きの調整をする必要があるでしょう。

それでは、部分的に区切りながら解説します。

冒頭~A(8小節目)まで

・曲全体に言えることですが、1,3,5小節頭の装飾音は前打音とし、頭の音符の縦の線を揃える練習を確実に行わなければなりません。

・1小節目頭のClarinet 3は装飾音後にG音に戻るため遅れやすいと思われます。Clarinet 1&2にも同じ装飾音がありますので、遅れる場合は装飾音を抜いて練習してみてください。

・2小節目と4小節目のHorn 1の演奏するF音はHorn 1のみです。特に多いG音(2小節目)やH音(4小節目)に負けないように響いているか確かめてください。

・5小節目と6小節目1~4拍目は2パート(2声)に分かれていますが、E音スタートはTenor SaxophoneとTrumpet 3 のみです。同じく4拍目~次の小節1拍目の低音ラインのE音スタートが少なすぎる可能性がありますので、バランスを工夫したいですね。

・曲全体に言えることですが、5小節目と6小節目のトリルは16分音符で演奏させると良いと思います。テンポを考えても十分にトリルに聴こえますし、次の小節の頭の音を揃えやすくなります。特にグロッケンを揃えるのが難しいので試してみてください。

・7小節目の8分音符の動きはユニゾンです。バランスの心配はありませんが、音程のリスクが高くなります。また8小節目の付点2分の和音に広がりを感じさせるための工夫が欲しいです。

練習番号A(9小節目)~B(26小節目)

・練習番号Aの1小節目(9小節目)冒頭の和音は、メロディもF音スタートと考えるとA音やC音を補強する等の工夫が必要でしょう。

・メロディのユニゾンは、先ほども書いたように音程のリスクが高すぎます。音程を整えることを最優先した方がよいと思います。その方がTromboneからHornへ繋がる和音とのバランスがとりやすいと思います。

・TromboneからHornに繋がる和音は、二種の楽器の音量が変わらないように気を付けましょう。

・練習番号Bの2小節前(24小節目)~B(27小節目)までは、Aの2小節前と同じように処理してください。

練習番号B(27小節目)~練習番号C(42小節目)

・メロディのユニゾンの人数がかなり増えます。それに対する対旋律はAlto Clarinet・Tenor Saxophone・Euphoniumの3パートだけ。低音の人数は楽団により異なると思いますが、和音はTromboneのみです。バランスには十分気を付けてください。

・練習番号Bの8小節目(34小節目)4拍目はメロディが2声に分かれます。バランスに気を付けてください。

・練習番号Bの9小節目(35小節目)からはメロディラインが3声に分かれます。音程のリスクは減りますが、Hornの和音になったリズムとAlto Clarinet・Tenor Saxophone・Euphoniumの対旋律は聴こえにくくなります。バランスを整えることに注意を払ってください。

・Tromboneはメロディの3和音と同じような動きになっています。しかし練習番号Bの10小節目(36小節目)のTrombone 2のC音はこの1パートのみです。この音とメロディラインのB音がわかれることで4声になりますので、C音のバランスの工夫が必要です。

・練習番号Bの11小節目(37小節目)4~6拍目は5声になります。ここの濁った感じを緩和するには、低音部に多いA・C・E音の三和音のグループと、高音部に多いG・D音の完全5度のグループを、別々に響きを整え、後から加える方法が効果的です。対旋律パートのD音が邪魔になる可能性はありますが、あまりcrescさせないことで対処してください。※このような部分についてはリハーサルで解決することが出来ます!

・練習番号Bの12小節目(38小節目)1~5拍目は多数のパートが同じリズムです。低い音域のF⇒E⇒Fの動きは全体を鈍重にする原因になります。抑えて吹かせるか思い切って抜いてみてください。

・練習番号Bの13小節目(39小節目)の8分音符のみの動きも、Alto Clarinet・Tenor Saxophone・Euphoniumの低い音域の動きは軽快感を阻害する原因になりやすいでしょう。

・練習番号Bの14小節目(40小節目)のTrombone 2の音(D、E)は不思議です。1拍目は低音域のC音に近い位置でのD音で、響きを阻害する原因になりますし、4拍目のE音はこのパート以外にありません。C音とDes音がぶつかる濁りを緩和するのにE音は必要な音ですので、強化してください。

・練習番号Bの15小節目(41小節目)のトリルは、16分音符にすることで確実に17小節目の頭をF音に揃えられます。
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課題曲Ⅱマーチ「エイプリル・リーフ」~第1回・楽曲分析・解説

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坂本文郎氏による2019年吹奏楽コンクール 課題曲Ⅱマーチ「エイプリル・リーフ」の分析、解説です。

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大変シンプルな曲です。メロディの大半はClarinet・Saxophone・Trumpetに若干FluteやOboeが加わった構造で、他の楽器は副旋律かリズム伴奏を演奏していることがほとんどです。単調になりやすいので、変化をいかに見せていくかがポイントになるでしょう。
同じような箇所が多いので、冒頭から追うよりも同種の個所をまとめた方が整理しやすいと考えます。大きな項目をいくつかと、その他の部分という形で解説します。

Point.1 冒頭とIとMの部分のメロディ

注意して見ると、和音がユニゾンの部分・2声に分かれている部分・3声に分かれている部分があります。ユニゾンは音が強く聴こえやすく(メロディそのものを吹いている人数が多いため)、音程のリスクもあるので3音に向かって徐々に人数を増やすなどの工夫をするとバランスよく聴こえます。

Point.2 グロッケンのトリルと16分音符

・冒頭の3小節
・Bの2小節目
・Eの1~3小節
・Fの2小節目と8小節目
・Hの1,3,5,7小節、
・Iの1~4小節
・Jの2~4小節
・Kの1,3,5,7小節
・L
以上が該当箇所になります。厚さの違いはありますが、すべてFlute、Oboe、Clarinetと同じ動きです。
この中で、冒頭・I・J・LはSnare Drumにも16分音符の同じ動きがあります。この部分を該当のパートだけで分奏することをお薦めします。詳しい合わせ方は後述しますが、この部分が乱れなく揃うことでシャープな演奏になりますので、分奏が最も効果的だと思われます。

トリルで最も気を付けなければならないことは、Jの4小節目とKの2,6小節目を除いて、トリルの長い音符とタイでつながっている8分音符です。これを必ず記譜してある音で同時に終わる必要があります。それができないと、シャープさがなくなるばかりか音の濁りに繋がります。上手に終わるために最も有効な方法は、トリルを16分音符に統一してアバウトにトリルさせないことです。16分音符に統一すると、確実に記譜した音で終わることができます。ちょっとトリルがぬるいと感じる場合は、リズム感の良い奏者に8分音符の場所で確実に記譜音で終わるように指示して、その他の奏者には16分音符にさせるのが有効です。グロッケンは16分音符が無難だと思います。
16分音符は繰り返し縦の線を合わせる練習をしてください。その際、特に管楽器と打楽器のずれに注意して練習しましょう。

課題曲Ⅱ.マーチ「エイプリル・リーフ」 第2回の楽曲分析をお楽しみに!!
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課題曲Ⅰ「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲~第1回・楽曲分析・解説

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坂本文郎氏による2019年吹奏楽コンクール 課題曲Ⅰ「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲の分析、解説です。

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全体的によく練られた曲だと思います。和音の組み立て方、各パートあるいはメロディと伴奏のバランスなど、演奏しやすい曲という印象を持ちました。
Soloの各奏者に力のあるメンバーがいること、TromboneとPercussionパートが充実していれば挑戦したい曲です。その中で練習に時間がかかる点をクリアできれば課題曲として取り上げたい曲ではないでしょうか。

Point.1
打楽器の扱いに注意してください。音色もタイミングも十分に注意を払って曲を仕上げる必要があると思います。
Point.2
全体的に和声は素直な印象です。4声の連続を多用する最近の課題曲の作曲者と比較すると、和音の進行がとても効果的だと思います。それだけに、響きを美しく作れるよう時間をかけて練習する必要があるでしょう。
Point.3
アルト・クラリネットが必須の個所が数多くあります。所有していない楽団も多いと思いますが、その時は4パート目のクラリネットとして移調の必要があります。

それでは、練習番号毎に区切りながら解説します。

冒頭~練習番号Aまで(1~7小節目)

・1~3小節間のClarinetの和音は、Bass Clarinetが、Clarinet 1~3のパートと音量のバランスがとれているか、音質が悪くなっていないか、確認してください。

・Bass Clarinet奏者には少し音域が高すぎで嬉しくない音域です。幸いAlto Clarinetと同じ音ですので、Alto Clarinetがない団体はClarinetの4thという形でフォローすることをお薦めします。

・3小節目、10小節目、フェルマータの後の休符は無音になるようにしましょう。Sleigh BellsやSus Cymbalが自然に消えていくような音の終わりのタイミングにFlute、Clarinet、Hornを揃え、4拍目が無音になると緊張感が得られるでしょう。

・Alto Clarinetを所有していない団体は4~8小節のAlto Clarinetは、Clarinet 4として配置した方が良いと思います。

・5小節目の木管とGlockenspielの動きを揃えるのが困難です。この部分は繰り返しの練習をしてください。

・6~7小節の木管のトリルは16分音符にすると揃えやすいでしょう。

・7小節目冒頭のTrumpetと低音の発音の中で、G音を発音するのはTrumpet 3だけです。バランスを確認して必要であれば補強した方が良いでしょう。

・7小節3,4拍目のTrumpetのタイとSnare Drumは、5拍目が遅れやすくなります。Trumpetは必ずしもタイでなくても(音が短くなっても大丈夫)良いでしょうが、Snare Drumの合わせは練習が必要です。

練習番号A~練習番号Bまで(8小節目~25小節目まで)

Alto Clarinetを所有していない団体はAの1小節目(8小節目)~Aの9小節目(16小節目)とAの14小節目(21小節目)についてはClarinet 4としてフォロー必須です。

・Aの1小節目(8小節目)~Aの8小節目(15小節目)のTromboneとEuphonium、Aの10小節目(17小節目)~Aの13小節目(20小節目)のHornはメロディラインやバスにはない単独の音が多数あります。和音を響かせられるよう音量を調節した方が良いでしょう。

・Aの6小節目(13小節目)6拍目のSnare Drumは、他の楽器が休符の状態で16分音符(アクセント付き)を演奏しています。また、Aの9小節目(16小節目)5・6拍目のSnare Drum・Timpaniも同様です。他のパートと音が被らないように注意してください。

・Aの8小節目(15小節目)4拍目はG・D音の8分や付点4分音符の音の上でA・D音から始まる16分音符が発音されます。特にA音から始まるパート(Flute 2・Oboe・Clarinet 1)が3パートありますが、D音のパートの下になります。バランスを確認してください。

・Aの9小節目(16小節目)1拍目は、G・C音の2声になっています。C音が少ないので調整が必要です。
※Aの10小節目(17小節目)から9小節間(25小節目に至る部分)は、演奏の鮮やかさに差が出るところです。念入りに練習してください。以下の説明がその方法の一助になるかと思いますので参考にしてください。
・Aの14小節目(21小節目)は、デクレッシェンドからの延長線上に自然に流れるよう音量を調整しましょう。Aの14小節目(21小節目)の完全なユニゾン(音程に注意したいですね)が音量の底になり、Aの15・16小節目(22、23小節目)の2声体での動きが広がっていくようにしてください。Wood Block⇒Bongosも合わせて調整してください。

・Aの16小節目(23小節目)4拍目のトリルの開始とPercussionのロールのタイミングは完璧に合わせないと演奏の切れが悪くなります。fpのf部分は8分音符の長さに統一するなど配慮することで演奏にキレが出てきます。D音のトリルはD音で、A音のトリルは記譜されていないB音で終わるようにすると次の16分音符への移行がスムーズです。そして16分音符が始まるAの17小節目(24小節目)4拍目からクレッシェンドを揃えるとAの18小節目(25小節目)のffが表現しやすくなるでしょう。

・Aの16小節目(23小節目)4拍目からのトリルとTrumpetのタイはA音が少ないので調整してください。

・Aの17小節目(24小節目)4拍目からの16分音符は、Es音スタートのパートが少ないと思いますので工夫が必要ですね。

・Aの18小節目(25小節目)は、下行形のパートが上行形に比べ多くなっています。上行形パートの奮起を望みます。また、同じ音が連続するパートはEs音と比較してB音(Alto ClarinetとTrombone 2のみ)とF音(Trombone 3のみ)が少なくなっています。バランスに注意して調整した方が良いと思います。

・Aの18小節目(25小節目)は、特に4拍目以降TimpaniとSus Cymbalが浮いてくるようなバランスが良いと思います。

練習番号B~練習番号Cまで(26小節目~32小節目まで)

・Bの1小節目(26小節目)とBの4小節目(29小節目)の1拍目の音は、共にC音が少ないようです。特に4小節目は音の動きを考えるとTrombone 1かEuphoniumをC音に回したいところです。

・Bの1~7小節間(26~32小節間)のAlto Saxophone 2とTenor Saxophoneは、音程の合いにくい音になっています。注意してください。

・Bの1、2小節(26、27小節)のClarinet 3の動き(音)は他のパートにはありません。バランスを考えるか、Clarinet 1、2から少し回してバランスの調節をする工夫が必要かもしれません。同様にBの3小節目(28小節目)はClarinet 2が少なくなっています。TrumpetとEuphoniumがユニゾンであることを考えると、今度は2ndに少し回して調整することをお薦めします。

・Bの4小節目(29小節目)1拍目のGlockenspielは、全体のsffzに負けないよう、しっかり響きの残るマレットを選択してください。

・Bの4、5小節(29、30小節)、G音のトリルはG音でD音のトリルはEs音で終わるように調整してください。Bの7小節目(32小節目)のトリルは、記譜されている音で終わることをお薦めします。

・Alto Clarinetを所有していない団体はBの7小節目(32小節目)はClarinet 4のパートを作って対応が必要です。

・Bの7小節目(32小節目)のSus Cymbalだけがcrescの形です。他のパートとの違いを明確にし、Cの冒頭(33小節目)のSnare DrumとBass Drumのmfへの流れを丁寧に練習してください。

練習番号C~練習番号Dまで(33小節目~52小節目まで)

・Cの1小節目~8小節間(33小節目~40小節目)のClarinet・Alto Saxophoneはユニゾンです。2小節前からのdecrescを受けてのユニゾンは強くなりすぎる可能性があります。音程のリスクを解消するためにも人数の調整をした方が良いと思います。

・C全体の低音パートは4分音符で書かれている音が多数です。Cの2小節目(34小節目)の4・5拍目等、他パートの休符のところに残って聴こえる形になっていますので、全体をやや長めの音に処理してください。

・Cの1小節目~12小節目(33小節~44小節)までのTromboneは、練習番号A同様にメロディラインや低音にない単独の音が多数ありますので響きの確認をしてください。

・Cの9~12小節(41小節目~44小節目)、Flute・Piccolo・Es Clarinet・Alto Clarinet・Euphoniumのメロディ群とOboe・Clarinetのパートはともにユニゾンになっています。特にメロディラインは3オクターヴもの開きがある(但し、下から2オクターヴ目には音がない)ので音程の合わせが困難ですので注意が必要です。メロディがOboe・Clarinetよりやや強くなるように調整すると良いと思います。

・Cの12~14小節(44~46小節)のSaxophone・Trumpet・Hornは、Cの12小節目(44小節目)が2声(Trumpetはユニゾン)、Cの13小節目(45小節目)はTrumpet2声、Cの14小節目(46小節目)が3声になっています。2声の時は、Trumpetのユニゾンも考えるとC音から始まる上の音が3声に分かれた時より強くなってしまう懸念がありますのでバランスに注意してください。

・Cの15小節目(47小節目)はSare Drum以外は同じリズムです。Snare Drumの動きに合わせた上で響きの確認をしてください。また3拍目は増三和音、5拍目は減三和音となっています。これらの和音はそれぞれの音の音量を揃えていくと響きやすくなります。
そしてCの16小節目(48小節目)のGmの和音に解決するわけですが、この和音はG音が特に多く、B音がHorn 4・Trombone 2の2パートのみなので響きの調整をしてください。

・Cの16小節目(48小節目)4拍目のC.Cymbsは4拍目に管楽器と一緒に入り、5~6拍目はシンバルの響きだけが残る形です。他の楽器の音が残らないよう注意してください。そしてCの17・18小節目(49、50小節目)はEuphonium・GlockenspielとSnare Drumのリムショット、Cの18小節目(50小節目)6拍目はTimpaniとなります。
この3小節は、互いに音が重ならないように注意して、鮮やかに主役を移行させてください。

・18小節目(50小節目)6拍目のTimpaniは、次の小節のfのtuttiのアウフタクトに感じられる強さをイメージしてください。

・Cの19~20小節(51~52小節)のFlute 2・Clarinet 3は、人数が少ないので補強が必要です。

・Cの19~20小節(51~52小節)のAlto Saxophone 2とTenor Saxophoneは、音程に注意したいですね。

・Cの20小節目(52小節目)1拍目のffはG音が多すぎるようです。D・B音に注目して、響きの調整をしてください。

・Cの20小節目(52小節目)4拍目のPercussionの音とContrabassのpizzは、木管の16分音符のスタートと絡めて、適切と思われる音を探してください。

課題曲1.「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲 第2回の楽曲分析をお楽しみに!!

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