2019年吹奏楽コンクール 課題曲Ⅲ.行進曲「春」~第4回・楽曲分析・解説

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坂本文郎氏による2019年吹奏楽コンクール 課題曲Ⅲ.行進曲「春」の分析、解説です。

坂本文郎プロフィール
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練習番号I(113小節目)~練習番号K(132小節)まで

・練習番号Iの1~4小節(113~116小節)のメロディラインは、2と4小節目がユニゾン(Trpだけは2声)で1と3小節目は3声になっています。ユニゾン部分は人数調整をした方が強調され過ぎないでしょう。

・練習番号Iの1~4小節(113~116小節)のTrombone・Euphoniumと低音の和声は、低音部の順次進行が主役になるようにバランス調整してください。

・練習番号Iの2、4小節(114、116小節目)は、メロディのユニゾンに対してHorn・Saxophoneは2声に分かれています。メロディの人数が多いので、和声感がなくならないようにバランス調整しましょう。

・練習番号Iの2小節目(114小節目)のTrumpet.1はメロディパートから離れて和音を構成しています。4小節目(116小節目)のOboe・Clarinet.1も同様です。この二つのパートの印象が同じになるようにしてください。

・順次進行で動いた低音パートは練習番号Iの5小節目(117小節目)でB音に行き着きます。到達したB音のまま練習番号Kまでその音が連続します。この間、メロディラインもTromboneのリズムも3声を続けます。3声の厚みが続く中、B音だけは全く動きがありません。ここは逆にB音を意識しましょう。ずっと保たれながら聴こえてくる印象が欲しいところです。練習番号Jに来るとTrumpetがB音を補強します。B音ではありませんが、1小節遅れてHornもユニゾンで加わってきます。練習番号Jの5小節目(129小節目)になると、このHornの動きにTrumpetが歩調を合わせます。練習番号Jの6小節目(130小節目)の2拍目からHorn・Trumpetは3声に分かれたパートと同化していきます。和声よりユニゾンを中心に音作りするのがこの部分だと思います。

・練習番号Jの7小節目(131小節目)から始まる管楽器のcrescを大切にしてください。132小節目にPercussionがcrescに加わることを意識しておいてください。Percは弱く入りすぎて加わった印象が薄くならないように気を付けましょう。

練習番号K(133小節目)~L(148小節目)まで

・前の小節から続くcrescの結果としてKではfになります。メロディラインの多くのパートは2声で入りますが、Trumpet、Flute、Oboeだけはユニゾンになっています。このTrumpet、Flute、Oboeと練習番号Lの2小節目(134小節目)からのTrombone、Euphoniumに対応しています。このグループは抜け出して聴こえるようにしてください。Trumpetは練習番号Kの3小節目(135小節目)の2拍目にFluteは練習番号Kの5小節目(177小節目)から2声に分かれますが、Trombone・Euphoniumは7小節目(139小節目)までユニゾンです。これらのユニゾン部分を表に出し、2声、3声に分かれた部分をブレンドさせていくような展開が大切だと思われます。

・練習番号Kの8小節目(140小節目)の1拍目は、Tromboneも3声になりますので、B♭の和声の響きを十分に表現してください。2拍目はB♭音のみのユニゾンになりますので、響き⇒ユニゾンのコントラストを強調してください。

・練習番号Kの9小節目(141小節目)は、A♭の和音の上にE♭の和音が乗るという、今まで構成音が少ない展開で進んできた中での突然の5声になります。次の小節も4声です。響きはA♭とE♭やFmの和音を別々に合わせて、グループ同士を重ねる方法が作りやすいでしょう。響きで推移しますので、より8小節目(140小節目)の2拍目のユニゾンが鍵になります。

・練習番号Kの8小節目(140小節目)のSus Cymbalだけのcrescにも注意しましょう。動きはSus Cymalだけですし、その後のBass Drum・Timpaniの装飾音もクリアにすることで演奏にキレが生まれると思います。

・練習番号Kの9小節目(141小節目)からの突然の多声部の和声の中で、ユニゾンで動くHornも目立たせるようにしてください。

・練習番号Kの10小節目(142小節目)の2拍目裏は、AsとC音に比べF音が特に多くなっています。

・練習番号Kの11小節目(143小節目)からのメロディ群は2拍目にSaxophone以外は2声になっています。Saxophoneだけが3声です。またG音はAlto Saxophne.2だけです。同じ小節で2分音符の動きもG音はTrombone.2にしかありません。複雑だった和声がシンプルな響きに変化する場所ですから、G音のバランスに気を付けて響きを作ってください。

・練習番号Kの12小節目(144小節目)にcrescがあるのはSnare Drumだけです。変化がはっきりと聴こえるように演奏してください。

・練習番号Kの13小節目(145小節目)の1拍目はEsとG音しかありません。拍の裏でHorn.3がB音を奏します。2声の厚い響きに1パートだけで3声目を出しますので、響きを感じるための練習が必要だと思います。

・練習番号Kの14小節目(146小節目)は再び複雑な和音構成になります。D・Es・F音が同時に鳴りますので、全体の響きを作ることは難しくなりますが、それでもメロディラインは2声であり、Trombone・Euphoniumはユニゾンです。15小節目(147小節目)にTrombone・Euphoniumも低音部に加わり、かなり厚いユニゾンになる中、他のパートはB音とD音のみの2声の構造です。Trumpet.2のF音でようやく3声を形成している形です。なるべくこのパートが聴こえるよう増強して方が良いでしょう。

練習番号L(149小節目)~練習番号M(164小節目)まで

・練習番号Lの1小節目(149小節目)の1拍目、大半の楽器がEs音を鳴らす中、G音でスタートするのはFlute.2とClarine.3 だけです。Clarinetはできるだけ多くの人数をClarine.3に集めるなどの工夫をした方が良いでしょう。後打ちではありますが、Horn.3は1パートだけB音を奏しています。可能な限り増強するとともにEs音から始まるパートの人数調整をした方が良いでしょう。(練習②)

・練習番号Lの2小節目(150小節目)からのTrombone・Euphoniumはユニゾンでメロディラインを追いかけています。この2つの要素に音量の差が出ないよう気を付けてください。

・練習番号Lの3~6小節(151小節目~154小節目)は、3声の協和音の連続になっています。ここで確実に響きを作りましょう。練習番号L前の不協和音とこの協和音の対比が重要になります。

・練習番号Lの6小節目(154小節目)は再び4声になります。G音とAs音がぶつかり、2拍目の裏は突然G音のユニゾンになります。コントラストを明確に表現してください。

・練習番号Lの7~15小節目(155小節目~163小節目)のメロディラインは、2声とユニゾンが交錯します。メロディの音量に差が出ると流れが失われますので、練習①で人数調整をした方が良いと思われます。

・練習番号Lの8小節目(156小節目)の音量変化はTriglのcrescだけです。表現はかなり難しいと思われます。2拍目は4声になることと、Snare Drumのロールが加わりますので、特に1拍目のcrescを大切にしてください。

・練習番号Lの10小節目(158小節目)は、メロディがユニゾンになる(かなり多い)にも関わらず、特に後打ちの和音で多声の音楽を作っています。ここをしのぐと11小節目(159小節目)から響きやすい和音が連続します。しっかり和声の響きが聴こえるようにしてください。

・練習番号Lの15小節目(163小節目)の2拍目はEs音⇒D音の流れを重要視してください。和声の他の音は固定されていますので、変化はD音だけになります。

練習番号M~最後まで

・メロディラインは、最初がユニゾン、練習番号Mの3小節目(166小節目)の2拍目で2声に、直後の4小節目(167小節目)で3声になっています。練習①を活用してください。

・練習番号Mの2小節目(165小節目)の2拍目の属7の和声を示すAs音は、メロディのユニゾンに負けないようしっかり鳴らしてください。特にHorn1&3の音が重要です。

・練習番号Mの3小節目(166小節目)のcrescはTimpaniとSus Cymbalだけです。このcrescが表現されるようにするには、勢いだけでffを奏しない方が良いと思われます。

・練習番号Mの5小節目(168小節目)の1拍目のF⇒Es音の変化もしっかり奏しましょう。変化はこのパートだけです。

・練習番号Mの5小節目(168小節目)の2拍目裏のAs音から6小節目(169小節目)冒頭のG音への変化も重要視してください。この曲最後の和声の解決音になります。

・最後の音はEs音のみです。とにかく音程を揃えることが重要です。たとえばAlto Saxophone.2など、音程を揃えることが困難な音は抜く(Tenor Saxophoneで同じ音を奏している)のも一つの方法です。

・最後の音は、Percの前打音をしっかり揃えて強調し、曲の終わりを演出しましょう。

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