2019年度 吹奏楽コンクール 課題曲Ⅰ「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲~第4回・楽曲分析・解説

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坂本文郎氏による2019年吹奏楽コンクール 課題曲Ⅰ「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲の分析、解説です。

坂本文郎プロフィール

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練習番号J(120小節目)~K(133小節目)まで

・練習番号Jは最もPercussionの活躍する部分です。練習番号J の5小節目(124小節目)からの低音のメロディもありますが、まずはPercussionのアンサンブルを作り、その上にメロディを乗せるくらいの感覚でJの音楽を構成すると良いと思います。

・練習番号J の1~4小節間(120小節~123小節)はAlto Clarinetが絶対に必要だと思います。「B・C・Es・F」という4声をClarinet群の音色だけで作るためです。この和音は「BとEs」と「CとF」の2つの完全4度で構成されていると考えるのが良いのではないかと思います。Alto Saxophoneは「BとF」になっています。和音の外側を重ねているのだと考えます。それに対するClarinetは、4音が全てあった方がより良いバランスになると考えます。

・練習番号J の5~10小節(124小節~129小節)の低音のメロディは、昔を懐かしむような回帰シーンの印象があります。歌い方を揃えた方が良いでしょう。

・練習番号J の11~14小節(130小節~133小節)は、練習番号Bの1小節前から3小節目までと基本的には同じです。注意点も前述の部分を参照してください。B前後と違うのは、14小節目のTromboneがない点とdecrescがかかっている点です。B前後と比較しながら練習して、その違いができているかどうか確認してください。Bの4小節目の最初がsffzなのとKの冒頭がmfになっていることが、この違いの原因になっています。次の音楽の違いに自然に入れているかどうかを検証してください。

練習番号K(134小節目)~練習番号L(149小節目)まで

・練習番号K の1~8小節(134小節目~141小節目)のTromboneはユニゾンで、さらに4回のグリッサンドがあります。全てB音を目指すので技術的な問題は少ないかもしれませんが、音の移動のタイミングを揃えるのは難しいと思います。ユニゾンなので、音程のリスクを考え、奏者を減らすのも一つの方法だと考えます。

・練習番号K の1~8小節(134小節目~141小節目)のTromboneのユニゾンに対しFlute・Piccoloは2声、Clarinetは3声の動きになっています。この3種のパートに加え、低音とPercのバランスを整えてください。

・練習番号K の7小節目(140小節目)でcrescをしているのは低音・Clarinet・Percussionだけです。Tromboneのユニゾンに音量が追いつくように奏してください。

・練習番号K の9~12小節(142小節目~145小節目)は、Clarinetがユニゾンに変わりTromboneが3声になります。2オクターヴの開きのあるメロディラインに次いでClarinetの音量があり、その下を3声に分かれたTromboneというバランスを作っていくと良いでしょう。

・練習番号K の12小節目(145小節目)の4拍目からのTrumpetはユニゾンです。HornとSaxophoneは2声になっているので、適正な音量を考える必要があります。

・練習番号K の13、14小節(146、147小節目)、Horn・Saxophoneが3声になるところでTrumpetは2声です。Tenor Saxophone・Horn.4のパートにTrumpetはないので、響きの調整をしてください。

・練習番号K の15小節目(148小節目)1拍目、何故かSaxophoneのみがG音のユニゾンです。Clarinet.3だけがB音、Horn.3とTrombone.2の2パートがC音でG音は多数あるため、人数の調整が必要と思います。

・練習番号K の15小節目(148小節目)の最後の和音は減三和音が連続します。練習番号K の16小節目(149小節目)にGmに解決しますので、スッキリと響かせることを目指してください。

練習番号L(150小節目)~練習番号M(165小節目)まで

※ここはアンサンブルの面でも音程も、特に注意が必要な部分です。
・Flute・Piccolo・Es Clarinetのメロディ、Clarinetの和音、Bassoon・Bass Clarinetの低音部、Percussionという構造です。気を付けたいのは、Clarinetの和音の転換の瞬間に間髪入れずPercussionの発音をしたいという点です。ズレないように注意深く練習してください。

・練習番号Lの4小節目(153小節目)の1拍目のメロディは非和声音です。4拍目でClarinet.1が延ばしていたC音に揃えていくわけですが、ここで濁りが出ないよう注意深く音程を整えてください。

・練習番号Lの8小節目(157小節目)のメロディのF音で4声の響きになります。練習番号Lの7小節目(156小節目)の後半からややdim気味に処理すると合わせやすくなります。

・練習番号Lの12小節目(161小節目)の1拍目のメロディは、Clarinet.2のA音とぶつかります。ここは濁った印象があるでしょうが、次の和音の解決を美しく整えれば問題ありません。

・練習番号Lの15~16小節(164、165小節目)のHorn・Tromboneの和音は、特にTrombone.2のAs音⇒G音の移動を大切にしてください。この時木管とTrumpetはユニゾンになります。強くなり過ぎないように、また音程のリスクを回避するために人数調整をした方が良いと思われます。

練習番号M(166小節目)~練習番号N(178小節目)まで

・Flute・Piccolo・Clarinet・Saxophone・Trumpetは、ユニゾンの後すぐに3声になります。16分音符の個所が2回ありますが、ここだけは2声です。16分音符の瞬間にバランスが崩れないように気を付けてください。Glockenspielと16分音符を合わせることも重要です。

・Trombone.2の音がB音からA音に変わるところが4ヶ所あります。この変化が明確に聴こえるようにバランスを作ると響きが良くなると思います。

・練習番号M の6小節目(171小節目)は和音が3等分された形で出てきます。最後の和音は減三和音です。特にこの和音と次の音への解決の部分でcrescを広げると流れが良くなるでしょう。

・練習番号M の7~8小節(172小節目~178小節目)は多くのパートがdecrescする中で、低音部とPercは山を感じさせるディナーミクになっています。この山がしっかり聴こえるように整えてください。

・練習番号M の11~12小節(176、177小節目)のcrescについてです。グリッサンドの入るHorn・Saxophoneは練習番号M の11小節目(176小節目)で大きなcrescが入ってしまいます。練習番号M の11小節目(176小節目)のcrescはこの2パートに任せ、練習番号M の12小節目(177小節目)に他のパートがcrescを受け継ぐ形(特に低音部)だと計算されたcrescを演出できます。

練習番号N(178小節目)~最後まで

・3回ある木管のトリルは、いずれも記譜された音で終わった方が良いと思います。次の音にスムーズに移動できることを最優先に考えてください。

・練習番号Nの1、3小節目(178、180小節目)は和声的に、2、4小節(179、181小節目)は4声の和音になっています。和声的な1、3小節目の音程に気を付けて、響きの差を明確にすると良いでしょう。

・練習番号Nの5小節目(182小節目)は4声からいきなり2声になります。下の音の人数が少なくなっていますが、上下のバランスをほぼ同じにした方が解決した感が得られるでしょう。

・練習番号Nの5小節目(182小節目)の4拍目のBongoと木管のトリルのタイミングを合わせることに気を付けてください。

・練習番号Nの7小節目(184小節目)の終わり方が困難です。木管の16分音符、8分音符の連続のパート、Trumpetのタイ、Trombone.1、2のグリッサンド、Percussionと異なる終わり方であることが困難にしています。特にTrumpetやBass Drumの音が残りやすいですし、Tromboneや木管も遅れてしまう可能性が高いです。8分音符のパートを基本に、入念に終了させる練習をしてください。切れ良く次のEuphoniumのソロに繋げたいところです。

・練習番号Nの9小節目(186小節目)、複雑な和音が3つ続きます。Percussionとのタイミングをしっかり揃え(特に6拍目のリムショットはできるだけ抜けるような音量の上で揃えたい。)、最後のG音のユニゾンに繋げましょう。G音は確実に音程を整えてください。音程を合わせるために多少人数を減らしても良いと思います。Percussionは練習番号Nの9小節目(186小節目)と最後の小節の音量をはっきりと変えてください。全体としてsffzを明確にする必要があります。

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