2019年吹奏楽コンクール 課題曲Ⅰ「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲~第2回・楽曲分析・解説

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坂本文郎氏による2019年吹奏楽コンクール 課題曲Ⅰ「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲の分析、解説です。

坂本文郎プロフィール

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練習番号D~Eまで(53小節目~68小節目まで)

・練習番号Dの1小節目(53小節目)~15小節目(67小節目)までのAlto Clarinetは、楽器がなければClarinet 4として音をフォローしてください。和声進行を美しくさせるためには必要な音です。

・練習番号Dの1小節目(53小節目)~8小節目(60小節目)までのメロディはユニゾンです。Snare Drumのリムの音や7小節目(59小節目)からのPiccolo・Glockenspielのスケールとのバランスを考えながら音程のリスクを少なくする適当な人数の調整をしましょう。

・練習番号Dの8小節目(60小節目)のSleigh Bellの立ち上がりはPiccolo・Glockenspielの上行形の結果としての音量を考えてください。PiccoloとGlockenspielは合わせるのが困難なので丁寧な練習が必要です。

・メロディは練習番号Dの9小節目(61小節目)から2声体になっています。Es音から始まるパートはFlute 2だけですのでバランスに注意してください。(補強が必要です。)

・練習番号Dの15小節目(67小節目)のHornとTromboneの音型はHorn 4(D音)Trombone 1(B音)が単独です。この音型でのバランスを取ってください。

・練習番号Dの16小節目(68小節目)の付点4分の音型は突然のユニゾンになります。人数としては多すぎると思われますので、できるだけ音程のリスクをなくすために減らした方が良いでしょう。

練習番号E~Fまで(69小節目~80小節目)

・この部分の低音パートは、練習番号Cとは逆に他のパートよりも短い音の設定になっています。練習番号Cは他のパートよりも長く音が残り、ここは短い音のイメージにすると、変化を演出することができます。

・この部分全体でリズムを担当するのはTromboneパートです。他の動きの音と比較すると、やはり単独で和声を作る音が多数存在します。響きの作り方に気を付けてください。
・練習番号EからもAlto Clarinetがない場合は、Clarinet 4としてのフォローは必要だと思いますが、そうした場合2声に分かれたClarinet 3の音が少なすぎます。フォローをしたうえでClarinet 3を増やすことをお薦めします。
・練習番号Eの1、5、9小節目(69小節目、73小節目、77小節目)の4拍目スタートのHornの入りが明確になるように立ち上がりに気を付けてください。

・練習番号Eの7~8小節間(76~77小節目)のcrescとdecrescですが、低音部の音量変化にTromboneそしてPercussionを揃えてください。練習番号Eの11~12小節間(79~80小節目)のcrescも低音の下行形のcrescに揃えましょう。

練習番号F~Gまで(81小節目~86小節目)

・練習番号FからはClarinet・Trumpetは3声に変わります。それに対して練習番号Fの1、3小節目(81小節目、83小節目)のTrombone・Euphoniumはユニゾンです。練習番号Fの2、4、6小節目(82、84、86小節目)は3声、練習番号Fの5小節目(85小節目)は2声です。どのようなバランスが丁度良いのか、いろいろ試してみてください。ユニゾンが大きすぎると感じたら、人数を減らした方が音程のリスクを回避できると思います。

・練習番号Fの2、4小節目(82、84小節目)のTam-Tamはスピード感のある音が要求されます。Clarinet・Saxophone・Hornの音型の頭打ちになるからです。あまり重いマレットは使用しない方が良いでしょう。
・練習番号Fの5、6小節目(85、86小節目)に全体のcrescがあります。この到達点の練習番号Gの1拍目のsffzには低音パートとBass Drumしかありません。このパートだけでsffzを演出できるように練習してください。練習番号Fの5小節目(85小節目)からcrescをかけて到達点に至る練習が必要だと思います。

・練習番号Fの5、6小節目(85、86小節目)のAlto Clarinetは何としても加えたい音です。D音から始まる下行形はTrombone 2とAlto Clarinetしかありません。Clarinetでは最後のDes音がフォローできませんが、その他の音だけでも入れたいところです。4人目のTromboneや2人目のTenor SaxophoneやEuphoniumがあれば厚くしたいですね。

練習番号G~H(87小節目~101小節目)

・練習番号Gの1~3小節間(87~89小節)は減三和音からのA7コードへの解決、そして練習番号6~8小節(92~94小節)も減三和音からのC7コードへの解決となっており、解決した後はまた減三和音に戻っています。練習番号Gの4、8小節目(90、94小節目)も1小節前と同じ進行です。さらに練習番号Gの10、11小節目(96、97小節目)は2種類の減三和音が交互にあります。大変不安定な和音が連続しますが、それだけにこの部分は曲のクライマックスと言っても差し支えないと思います。等距離に開いた音が積まれていますので、それぞれの音の音量を可能な限り近づけると響きが得られやすくなるでしょう。もう一つ、解決の和音をできるだけ印象的に響かせることもポイントです。さらに、Percの音を上手に目立たせることも効果的です。Bass Drum・Timpaniのソロ・ボンゴを目立たせてください。

・この部分のAlto Clarinetの音は必須です。Clarinet 4の形でフォローしてください。

・練習番号Gの5小節目(91小節目)4拍目から多くのパートはffpですが、Bassoon・Bariton Saxophone・Bass ClarinetとBongoは全てffです。ということは、5拍目以降全体がpに落した中でffで演奏するわけですから、5拍目からの5つの音が明確に聴こえた方が効果的になります。他のパートのcrescはできるだけ後ろに持っていた方が、その効果が出やすいでしょう。

・連取番号Gの5小節目(91小節目)の4拍目の和音と練習番号Gの6小節目(92小節目)1拍目の和音は、8声部もあります。半音でぶつかる音ばかりですので躊躇なくぶつけてください。この二つの和音で構成に変化があるとすれば5小節目にあるTuba・Contra bassのG音が練習番号Gの6小節目(92小節目)にはなく、逆に6小節目(92小節目)のTrombone 3にあるC音は5小節目には存在しません。綺麗に響くことは難しくても、この二つの音を強調して違いを出したいと考えます。
・練習番号Gの11小節目(97小節目)の最後の音は減三和音にTrombone 2&3,

Euphonium・Tuba・ContrabassのG音がぶつけられます。この音はできるだけ強調した方が良いでしょう。

・練習番号Gの12小節目(98小節目)の静寂の後、13小節目(99小節目)の始まりはTimpaniの装飾音が前に出るように丁寧に合わせましょう。Euphonium、Bassoonはしっかりした音で演奏し、15小節目(101小節目)のFlute・Clarinetの和音は静かなイメージが保たれるようにしてください。D音が強すぎるのでFlute 1・Es Clarinet・Clarinet 2は慎重に発音してください。Clarinet 3のB音とClarinet 1のA音も、慎重に正確な音程で入り響きを作ってください。
・練習番号Gの13小節目(99小節目)の和音に合わせるTam-Tam・Glockenspielの音量や音質にも注意を払いましょう。また、7拍目から始まるSus Cymbalのcrescは、練習番号Hの始まりに繋げられるよう丁寧に作ってください。

2019年吹奏楽コンクール 課題曲1.「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲 第3回の楽曲分析をお楽しみに!!
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